32つ目の友情

 「どんな子だったの?」飲み込んだ言葉とは別の言葉を彼女にぶつける。「え?」目を丸くしてこちらを見上げてくる後悔ちゃん。彼女に合わせてしゃがんでから、「こんなに強い後悔ちゃんをそこまで振り回したって相当すごい子だなって。」とあくまでも、後悔ちゃんが強いという前提を崩さないようにそう言うと、「私別に強くないけどな。友だちに流されてるんだから。」と妙に真剣な表情で言われた。

 「友だちに流されてる?芯があって強い後悔ちゃんが?」彼女に似合わない言葉に疑問をこぼすと、「芯があって強い?ガンコって言ってほしいなぁ。」と微笑まれた。「それと、強そうに見えるのはもう死んでるからだよ。生きてたらもうちょっと発言に気を付けてたよ。」そう話す彼女に「なんで?」と聞き返すと、「他の人への影響とか考えて?後悔ちゃんにこんなこと言われました〜って告げ口されたら勝ち目ねぇじゃん。それが嘘でも責められるのは私だよ!だったら黙っておくべきじゃん?」明るくそう言う彼女に「それが嘘なら”私は言ってません”を貫けばいいじゃん。なんで後悔ちゃんが責められなきゃいけないの?」と言う僕の問いかけに、「う~ん・・・。」とこめかみを押さえて悩み始めた彼女。「お前、学校で同性とばっかつるんでるだろ?」という一言だけ絞り出した。

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