29つ目の友情

 大地の話をまとめると、彼女は3つ年上の女の子で習い事で知り合ったらしい。生前から後悔ちゃんと似たような雰囲気を纏っていて、守ってあげたくなるような子だったらしい。個人的に興味深かったのは、大地は彼女を自ら招喚したということだ。理由を聞けば、告白できなかったという未練があったと。


 「告白した後はどうなったの?」僕の問いかけに大地は黙った。少しの沈黙の後、彼は口を開いた。「彼女は・・・生前に後悔していることがほとんどなくて、唯一心残りだったのが、僕からの好意に気づいていたけど気づいていないフリをしたことだったんだって。」と話す彼に無言で頷く。「だから、俺から告白されたことで生前の心残りがなくなって・・・成仏しちゃった。」「成仏?やっぱり幽霊って成仏するの?」成仏という言葉に反応してほぼ条件反射でそう聞き返す。

 「加恋ちゃんから聞いた話だと、生前の心残りが全部なくなると成仏するらしいよ。」と説明された。「後悔ちゃんの心残りはなんなの?」と追加で聞くと、「それは、俺にはわからない。自分で聞け。」と返された。「まぁでも、Tシャツに青春後悔って書いてあるから青春絡みの何かなんじゃね?」大地のその一言で、後悔ちゃんが自分の学校の話をするのを嫌がる理由がなんとなくわかった気がする。

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