26つ目の友情

 しばらく沈黙が流れて、どちらからともなくラーメンをすすり始めた。部屋にラーメンをすする音だけが響く。僕より先に完食した彼が口を開いた。

 「天国だよ。」おもむろに上を向いた大地。予想していなかった返答にえ!?と声を漏らすと、「急に重い話してごめんな!」と明るく返された。「でも、お前の彼女さんもなんとなくあの子と似たような雰囲気感じたからさ。お前は後悔すんなよ!ほら、あの子のTシャツにも書いてあったじゃん!って。」大地にそう言われてハッとした。

 後悔ちゃんが”青春してる人が好きなこと”や”自分の話をするのを好まないこと”、”あんなに明るい彼女が自ら死を選んだこと”の理由が分かった気がする。

 僕の表情から何かを察したらしい大地が、「今日、泊まってもいい?明日休みじゃん?」と聞いてきた。確かに、明日は土曜日で学校はお休みだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る