21つ目の友情

 「なんでそんなことを知りたいの?」先ほどまでと変わらない表情と声のトーンで聞いてくる彼女。質問に質問で返されたことにびっくりして、「え?」と思わず声を漏らすと、「その、自殺とか考えてねぇかなって。」と呟いて目線を反らした。そうだ、彼女が亡くなった理由は自殺だった。僕の母親とはちがうんだ。

 「ちがうよ。ただ、後悔ちゃんと別れるのが嫌なだけで。」と本音を伝えると、「さっきも言ってたけど、そんなに人と別れるのが嫌なの?」と微笑む彼女。その綺麗さに思わず目を見開いてしまった。


 その後も、日が傾くまで後悔ちゃんと喋った。夢見心地ゆめみごこちな気分で会話をしていたから、何を喋ったかはほとんど覚えていない。失礼なことを言っていないだろうか。普段、異性と話す機会がなかなかないから、どこまでが失礼なのか分からない。ただ、彼女は自分のことをあまり話したがらないので、僕のことをたくさん話しておいた。ほんとはもっと彼女のことを知りたいんだけど・・・。

 僕が知っている彼女の情報は、”自ら死を選んだこと”と”青春をしている人が好きなこと”くらいだ。

 そんなことを考えながら家までの道を歩く。僕の家は門限がないから、ほんとはもっと彼女と話していたかった。でも、「未成年がこんな時間にフラフラしてると危ないよ。」と半ば強制的に帰宅させられてしまった。彼女もあどけなさが残っていて、僕のクラスの女の子たちよりもかわいいから、後悔ちゃんこそ気をつけてほしいと思ったが、彼女が幽霊だったことを思い出して、言葉を飲み込んだ。もしも生前の彼女と出会えていたら何かが違ったのかな・・・。

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2024年12月19日 19:00
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友情か成仏か オトモダチ @otomodati_2006

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