18つ目の友情

 「少年って、友だちいたんだ。」しばらくの沈黙を破るためか、後悔ちゃんがそう口にした。ブランコで話した話題の続きだろう。「いるよ。当たり前じゃん!」と笑顔で彼女に返すと、「そっか。当たり前だよね。そうだよね。」と少し落ち込む彼女。もしかして、後悔ちゃんって生前、友だちがいなかったのかな?だから自殺したとか?そういえば、前に青春できなかったって言ってたような・・・。

 「あっ、ほら、わたしって幽霊じゃん?だからってだけで、死ぬ前はいたよ!」僕からの反応がなくて不安になったのか、明るくそう言った彼女。生前は友だちがいたのに、幽霊になってから誰とも喋れなくなった彼女の気持ちを想像すると、すごく辛いだろうと思った。ん?待って?「後悔ちゃんとおなじような幽霊の人は周りにいないの?その人と仲良くすれば」よくない?と彼女に聞こうとした。しかし、彼女が僕の言葉をさえぎって「いるけど仲良くするのはムリかな。」と食いぎみに返答された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る