17つ目の友情
「あのお兄さん、一人でブランコに話しかけて何してるんだろう?」彼女との会話が一段落した時、ブランコの近くにいた女子グループの中の一人が大声でそう言った。最初は誰のことか分からなかったが、彼女たちの視線を感じて、自分に向けられた言葉だと気づいた。そうだった。後悔ちゃんは幽霊だから僕にしか見えないんだ。やってしまった。彼女も僕の表情から察したらしく、口を開いて手を添えている。目を左右にキョロキョロと動かした彼女は、植え込みの陰を指差して「あそこで話そ」と小声で提案してきた。その提案に無言で頷くと、彼女がブランコから立ち上がる。それによって、風もないのにブランコがわずかに揺れる。先ほどの女の子たちがこちらを見て声を潜める。
これ以上注目されると、僕にも彼女にも悪いため、慌てて植え込みの陰に移動した。
「ごめん。後悔ちゃんは幽霊だから、僕以外の人間には見えてないよね。」植え込みの陰になる場所でしゃがんで、彼女にそう言う。「いや、わたしも気づかなかったから。・・・少年が来て安心しちゃって。」と呟いた。「僕が来て安心?」彼女にそう聞き返すと、「その、今日いろいろあって・・・。」と目線を反らされた。「いろいろって?」と質問すると、「ナイショ!その、ほら、わたしは少年とちがって大人だからさ、自分でなんとかするって!な、心配すんな!」と急に明るく捲し立てる彼女。大人とか子どもとか関係なく友だちなんだから相談くらいはしてほしいなと思ったが、後悔ちゃんの意見も分からなくはないし、後悔ちゃんにとっての僕は友だちではないかもしれないので、わかったとだけ言っておいた。
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