13つ目の友情
気まずくて彼女の方を見れなくて、膝についた砂を払っていると、やっと落ち着いたらしい彼女が立ち上がる。無意識に上を見ると優しそうな表情の後悔ちゃんと目が合った。
「少年、大丈夫そう?ケガとか。」と聞かれたので、こくりとうなずく。「そっか、少年が大丈夫なら良かった!」と彼女は明るく笑った。(正確にはそう取り繕っているように見えた。)
「あの、僕が大丈夫ならって・・・。」先ほどの言葉の真意を探るため、彼女にそう問いかける。「あ~。ほら!今どきの大人ってそーゆーのにうるさいじゃん?特に親?」という彼女の言葉にえ?と相づちを打つと、「”うちの息子にケガさせたのはどこのどいつだ!”みたいなの。」と言われた。「僕のお父さんはそんなこと言わないけどな」と事実を返せば、「なに?虐待?聞かなかったことにした方がいいやつ?」と少し慌てた様子の後悔ちゃん。けれどすぐに、「あっ!でも、お母さんが!」と言ってきた。その話、あんまりされたくないんだけどな。そう思っていると、「あっ!やっぱやめよう!今の聞かなかったことにして!」と顔の前で手を合わせる彼女。なんで?と聞き返せば、「誰にだって聞かれたくないことの一つや二つくらいあるでしょう?」と言われた。
その後、彼女が明るい話題に変えてくれて僕の門限まで二人でベンチに座って喋った。
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