第4話 子育て開始、そして親と子③

 その日の夜、シンヤとレンはロアスが寝たあとにある話し合いしていたのだった。


「シンヤ…ロアスは本当にいい子に育ってくれましたね。」


「まったくもってその通りだな。

あんなに小さいのに俺たちのことをあそこまで考えているとは思わなかったぜ。」


「本当にその通りですよ。

だからこそこうして話合うんですがね…。」


「あぁ…。」


 二人はロアスの気持ちを聞き今後どうするかの話し合いをすることにしたのだ。

 最愛の息子の考えを尊重してどうにか自分たちの特殊ともいえる技術と魔法を教えたかったのだ。

 だが二人は異世界人、その技術や魔法は固有とも言っていい。

 だからこそ二人は迷っていた。

 その固有ともいえる技術と魔法を普通は使えないのだが、たった一つだけ使えるかもしれない方法があるのだ。

 だがその方法は二人にとってはやりたくはなかった。

 だがレンは、


「たった一つだけある方法をやればあの時の約束を破ることになってしまいす。

私たちは、あの時母親にロアを大事に育てると言いました。

託されたからにはその約束を守らなければなりません。

ですがロアの気持ちを尊重したいとも思っています。」


「そうだな。

あの奇跡から始まった俺たちの生活…。

毎日がここまで楽しい日々になるとは正直思いもしなかったからな。

久しぶりに子育てして本当に楽しい日々だよな。

だからこそロアの考えを聞いてどうにかしたいと思うし息子の願いを叶えたいって思えるんだろうぜ。」


「えぇ、私もここまでとは思いもしなかったですよ。

…ですがあの方法は普通の人は絶対死にます。

いくらロアスでもこればかりは無理かもしれません。」


「だな。

俺もそう思うぜ…。

だがロアスは俺たちの子だぜ?

あそこまでひたむきに来てるロアスの気持ちと講堂をどうにか答えてやりたい。

もしかしたらまた奇跡を起こすかもしれないぞ?」


「絶対大事に育てると言ったあなたがそれを言いますか?

まあ私もその考えは賛成ではありますがね。」


 そう話をしていた二人は少し笑ったのだった。

 そしてシンヤが、


「俺たちが決めるわけにはいかないな。

明日ロアスに話してみよう。」


「そうですね。

ちゃんと話をしてその後に決めましょう。

危険性なども話さないといけませんし。」


「ならその前に行かないといけない場所があるな。」


「えぇ、明日ロアスとあの場所に行きましょう。」


「あぁ、そうだな。」


 そして二人は明日ロアスの選択に任せると決めて就寝したのだった。


ーーーーーーーーーーーーーー

翌朝


 日が昇り始めロアスは起床した。

 昨日はいつもより遅くに寝てしまい少し寝不足気味でもあった。

 だがロアスは眠気がまだある中、昔からの日課で楽しみでもあるシンヤを起こしに行くのだった。

 昨日は二人の事やいろんな話が聞けていつもより少しテンションが高いロアス。

 そしてシンヤの部屋の前に行き開けていざ起こそうとしたら、


「おぉ!

ロアおはよ!」


「お…はようーとうちゃん。

…えっ?」


 なんとシンヤはすでに起きていた。

 この数年間で初めての出来事に固まってしまったロアスだった。

 そしてシンヤが、


「ロアちょっと話があるんだがいいか?」


「え?

あっ…はい。」


「よし!

んじゃちょっと場所変えるぞ!」


 シンヤがそう言い呆気に取られていたロアスはただついて行くだけだった。

 そして外に出るとそこにはレンがいた。


「ロアおはようございます。」


「父様おはようございます。

あの…今から三人でどこか行くのですか?」


「えぇ、ある場所に行って伝えないといけないことがありましてね。

ロアにも一緒に来て欲しいのです。」


「わかりました。

ですがこんな朝早くにどこにですか?」


「着いてからのお楽しみです。

この山から出るとだけは言っておきますね。」


 そうレンが微笑みながら言うがロアスは少し不安の気持ちになっていた。

 なぜならロアスは今までこの山以外の場所には行ったことがないのだ。

 そんな不安顔が出ていたのかシンヤが、


「大丈夫だロア!

俺たちがついているからなんも起きやしないさ!」


「そうですね…。」


 シンヤはそう言うがロアスは不安しかなかった。


「じゃあ行きますよ。」


 レンがそう言って転移魔法を起動した。

 ちなみにロアスは何度もこの魔法に挑戦したがうまくいかずに魔力暴走を引き起こしていたのだ。

 いつか使えるようになりたいと思いながら転移は始まったのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とある廃村


「着きましたよ。」


 そうレンが言うと廃村だった。

 だいぶ昔に潰れたのであろうすでに家屋はほとんどが無くなっていた。


「ここは?」


 そうロアスが聞くとシンヤが、


「まぁとりあえず歩こうぜ。」

 そう言うと二人はスタスタと歩いて行くのだった。

 ロアスは初めての場所に不安になりながらも二人の後に付いて行くのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 しばらく歩いていると開けた場所に出て、そこはお墓がいくつも並んでいたがお墓は何故か枯葉や雑草などはなく綺麗に整えられていたのだった。

 不思議に思っているとレンが、


「ロア、ここは私の魔法で常に綺麗な状態になるようにしているのですよ。

状態保護魔法ってところですかね?

ここは特別なので。」


「そうだな。」


 そうレンが言うとシンヤが同意するのであった。


 しばらく歩くと他の墓と比べて一回り大きい綺麗な2つの墓の前に着いた。

 そしてレンが、


「着きましたよロアス。

 ここはあなたの両親のお墓です。

 私とシンヤの2人で作ったので少し不格好なのはご愛嬌というこで。」


「これでも結構頑張ったんだぜ!

 まあほとんどレンの魔法頼りではあったけどな。」


 そう言うレンとシンヤであったがロアスから見たら不格好なのではなく本当に立派なお墓であった。

 それに見ず知らずのはずの村人のために全員のお墓を作ってくれたことにロアスは2人の優しさを感じることが出来たが、さらに自分の両親のお墓も作ってくれたのだ本当に感謝しかない。


「父様、父ちゃん、僕の両親どころか村の皆さんのお墓まで作ってもらって本当にありがとうございます!!」


 本当にこの2人には一生敵わない、その心と行動にロアスは尊敬と誇りしかなかった。

 そして両親の眠るお墓の前まで歩き手を合わせお参りをするのであった。


(お母さん、お父さんお久しぶりです。お久しぶりになるのかな?

 赤ちゃんの時なので記憶にはありませんが2人が守ってくれたおかげで、父様や父ちゃんと出会いここまで僕を育ててくれました。

 まだまだの僕ですが元気にすごしています。

 2人が凄すぎるのでいつも圧倒されますが本当の息子のように愛して育ててくれてるの安心して下さい。)


そうお祈りをしてると両隣に、スっと座る2つの影があった。

もちろんレンとシンヤであるロアスと一緒にお祈りをしていたのだ。

5分程だろうか3人ともお祈りをすませ顔あげるとレンが、


「ロアス、昨日あなたの気持ち聞いてシンヤと2人でとある話し合いをしました。」


そしてシンヤも、


「俺たちの技術と魔法を使いたいというロアスの気持ちを尊重しようと思ってな。」


話を聞き入ってるとレンからロアスが今まで欲しくてたまらなかったことへの、


「私たちの魔法と技術を、使えるかもになりますが可能性のある方法があります。

ただ…ほぼ確実に死ぬであろう方法ですが……。」


希望と絶望その両方が出てきたのであった。


_________________


どうも作者G.Gです!

レンとシンヤの異世界人話の詳細はもう少し先で出す予定です!

もし気になられたらもう少し待っていだけると幸いです!

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