第2話 子育て開始、そして親と子①

 レンの転移魔法で、ある山のさらに奥に行き、魔法で拠点を作りシンヤとレンとロアスの三人の生活が開始をしたのだが早速問題が起きた。


「レン!

ミルクがないぞ!

どうする?!

それにオムツだってないぞ!」


 大慌てでシンヤがレンに言った。


「ちょっと待ってください!

私も子育ては久しぶり何ですから!

確か昔作ったやつにオムツがあったはず!!

それにミルクも確か···」


 レンは自分の異空間収納からオムツとミルクを探していた。


「びぇぇぇぇぇん!!!」


「オムツもだがミルクが先だ!

ロアスがお腹すかして泣きまくってる!!!」


「さすが、昔保育士目指したことあるだけによくわかりますね…。

おっと!

それどころではなかった!

オムツはありました!

ですがミルクはないです!

どうしましょう?!」


「お前が前の町でひっかけてた女達に母乳でも、

もらってこい!!!」


「なっ!

その言いぐさはなんですか?!

しかも何て失礼なことを!

それにちゃんと避妊してますから!

······多分ですけど大丈夫なはず……。

あれ?····大丈夫だよね??」


「エェェェェェーーーーン!!!」


「おぉっ!

よしよし!

ロアスごめんよ。

大声出して。

ならあいつから貰ってきたらどうだ?

前にあの渓谷に行った時に、あいつの子孫がいたからアレのミルクなら栄養もたっぷりだろう?!」


「そういえばそうですね!

すぐ行ってきます!!」


「まてぇ!!

オムツは出してけー!!!」


 そしてレンは転移魔法でミルクを取りに行くのだった。

もちろんオムツは出さずに行ってしまったのでロアスが泣き止むことはなく、シンヤが途方に暮れ自分の服をちぎり代用するのであった。


 その後、無事にミルクも手に入りちゃんとオムツも変えることができたので一段落がついたがしばらくは二人ともてんてこ舞いになりながら楽しくロアスの世話をやいたのだった。

ちなみにオムツの件で殴り合いのケンカをしロアスがまた泣いてしまったのは言うまでもない。


ーーーーーーーーー

半年後 ロアス6ヶ月


「おぉー!レン!

ロアが立ったぞ!」


「えっ!

本当ですか?」


机の端を掴みながらだが立ったロアスを見て二人ははしゃいでた。


「だっだ?」


「こんなに早く立てるとはロアは運動神経抜群かもしれないな!」


「まったくこの脳筋親バカは…。

ですが気持ちはわかりますよ。」


 やれやれといった感じでレンは呆れるのだったが、その顔はロアに対する期待に満ちてるようでニヤニヤしているのだった。

 二人共、ロアスに対し絶賛親バカ中である。


 そんなはしゃいでる二人をロアスは不思議そうに見てた。


ーーーーーーーーー

1年後 ロアス1歳


「父ちゃん!

ロア!

と・う・ちゃ・ん!」


「だ・うゃん?」


「あー!惜しい!

これはもうちょいでロアは喋れるようになるぞ!」


「まったく、どこが惜しいんですか?

ほらロア、父様と。

と・う・さ・ま

さ、言ってごらんなさい。」


「…」


 ロアスは無言で真顔になった。


「バッカでぇ!

そんな難しい言葉言えるわけないだろ?」


「なっ?!

ロアならきっと言えます!

えぇ、絶対です!」


 そしてロアスが、呟いた。


「とー…たん?」


ポンっとレンの肩に手を置きシンヤが、ニヤっと笑いながら。


「まぁ気長にいこうや。」


「くっ!屈辱です…」


 そんな二人のやり取りをまたロアスは不思議そうに見てたのだった。


ーーーーーーーーー

2年後 ロアス3歳


「とーちゃん!おはよー!

とーさま帰ってきたよ!」


 ロアスはシンヤの腹の上でダイブしてあいさつをするのである。


「おぉぅ…

…ロアおはよう。」


 シンヤは寝ぼけながらもロアスの頭をワシャワシャしながら起きるのだった。


「やっぱり寝起き一発目にロアの顔は最高だな!」


 と、起きながら爽やかな顔でそう言うシンヤだった。


「まったくです。

ですが、その起こし方で喜ぶのはあなただけですからね。」


 呆れたようにレンが言うのでした。


「おぉ、レンおはよー。

帰ってきたか。

で、どうだった?」


「えぇ。

今回も私一人で全然大丈夫でした。

ですが!

次回はあなたが言ってくださいよ!

私もロアといたいのですから!」


「フッ!

それはちゃんとジャンケンに勝ってから言うんだな。」


「くっ……。

確かにそうですが……。」


 シンヤがからかうように笑い、レンは悔し過ぎて歯をギリギリするのである。

 そんな二人のやり取りをまたまたロアスは不思議そうに見てたのだった。




 …その日の夜、ロアスが寝てる時にいつものおちゃらけではなく真剣な顔で二人は話をしていた。


「シンヤ、ロアはやはり?」


「あぁ、普通の子供だったよ。

俺の技術やお前の魔法とかも覚えるのは無理だ。

ただ、特別な才能はないが普通の魔法と体術はそこそこ使えるだろうがな。」


「そうですか…

我々とは違いロアはこちらの世界の住人。

残念ですけどそれが普通ですね。」


 二人は自分達のもつ力を教えれないことがわかり、

そして今後どうするかを二人は夜明けまで話し合ったのだった。


ーーーーーーーーー

5年後 ロアス8歳



ドガーーーーーーン!!!!!


 突如爆発音が起きた。


「なっ!

何事だ?!」


 シンヤが家から慌てて出てきた。


「たぶん、またロアが無茶をしたんでしょう。」


 と、落ち着いて語るレン。


「はぁ……。

またか…昔は可愛かったのに最近はどんどん暴走してきてないか?

誰に似たのやら…。」


 少し呆れ気味にシンヤは言ったのだった。


「まったくです。

いくら回復魔法があってもこんなの毎日やってたらいずれ死んでしまいます。

蘇生魔法だって万能じゃありませんからね、蘇生出来ない時もあります。」


「だな、取り返しがつかなくなる前にちょっと話すか。」


「ですね。」


 そして音がしたほうに二人は向かった。


ーーー


 音がした方に行くとそこは爆心地のようにクレーターが出来ていて、その中心にロアスがボロボロになって倒れていた。


「こりゃ結構な大きな穴が出来たもんだ。

一緒にいたはずのアイツは…

俺たちに怒られるのが怖くて逃げたな。」


「えぇ、たぶん3日は帰って来ないでしょうね。

それと…やはり、魔力の制御がオーバーして起きた爆発ですね。

私が作った魔具は発動してないので、爆発の瞬間に防護魔法を自分で使ったみたいです。

反応の良さ…そこは評価出来ますが、防護魔法の制御が甘かったようなのでロアはボロボロになってますよ。

ですがやはりロアは賢いですね。

普通はここまでのことが起きたら防護魔法は間に合わずに爆発に巻き込まれてる所ですよ。」


「あぁ、8歳にしてはいい反応だ。

だが今回のでやり過ぎたな。

さすがにもう見過ごすことも出来ん。

魔法もそうだが俺の訓練もやった後、自主練もしてるらしいから明らかにオーバーワークだ。」


 そしてレンが回復魔法をロアスにかけた。

 魔法をかけ終わったあとすぐにロアスは目を覚ました。


「うぅ…ん……あれ?

気を失ったのかな…?

それに……

うん…やり過ぎたかな?

なんで制御出来ないんだろう?」


バチーーーン!!


 いつの間にか隣に来ていたシンヤに頬を叩かれたロアス。


「ロア!

てめぇは何してやがる!

死にてぇのか?!

明らかにやり過ぎだ!!

いい加減にしやがれ!!」


8歳の子に対して張り手はどうかと思うがシンヤは本気で心配してのことだったのでレンも特に止めはしなかった。

そしてレンも、


「ロア、あなたはまだ8歳の子供です。

なのにどうしてそこまでやるのですか?

頑張りすぎだと思いますよ。

勉強も体術も魔法も私たちが教えた後、自分でやることの自主性で学ぶことも多いので良いことです。

ですが、いくら何でも最近はやりすぎです。

私の回復魔法でも治すこが出来ないことだってあります。」


「………」


ロアスは二人に気付きそしてシンヤには叩かれ、レンにも注意されたので落ち込んでいた。


「父ちゃん、父様、ごめんなさい………」


「ちゃんと悪いことをしたと思い、正直に謝れる子になってくれてるようでよかったです。」


「だな。

だがよロア、質問の答えになってねぇぞ?

なんでそこまでやるんだ?」


「………」


「黙りはよくないですよ?

それとも私たちに何か隠し事があるのですか?」


「………」


 急に黙ってしまったロアに対しシンヤは、


「ハァ……。

ロア、何をそんなに頑張るかわからんが自分に合った訓練をしないと自分自身に殺されてしまうぞ?

俺とレンは母親からお前を預かった時、大事に育てると約束をした。

そして体術や魔法を教えているのはロアの将来に役立てて欲しいからなんだ。」


「ええ。

なのにロア…あなたは自分で自分を壊してしまっています。

このままですと今後、取り返しがつかないようなことが起きるかもしれないのですよ?

そんなことの為に私たちは魔法や体術を教えているわけではありません。

だからこんな無茶はしないで下さい。」


「………」


 ずっと黙ったままのロアス。

 そしてシンヤが、


「ロア………。

やっぱりその……。

ちゃんと話してくれないのは俺たちが本当の親じゃないからなのか?」


 シンヤがそう問いかけたその時、


ブン!!!(サッ!)


 ロアスがシンヤに急に殴りかかってきたのだった。(シンヤはしっかりと避けてます)

__________


どうも作者のG.Gです!

シンヤは条件反射で攻撃を避けてしまってます!

ちなみに子供の攻撃って皆さんなら受け止めますか?

自分なら避けるかもしれません笑

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