第3話 誕生日

彼を思い出すって決めてから、私はすぐさま行動に移した。


家の中にあるアルバムや写真を漁りまくったが、


結果何も思い出せず、、、


父の知り合いなら1枚くらい、それっぽい写真あるかなって思ったのに。


でも、一つ手がかりのようなアルバムを見つけた。写真がたくさん埋まっているアルバムの中、一枚だけ写真が抜けている場所がある。


この写真のありかを探そう。


そう思い、部屋を飛び出して、一階のリビングにいるお母さんのところに駆け付けた。


好奇心が旺盛な人のように

「お母さん!このアルバムの写真のどこにあるか分かる?」

と勢いよく聞いた。


驚いたように

「え、急にどうしたのよ。このアルバムの写真がどこにあるかだって?私もどこにあるかわからないわ〜。てかよくそんな懐かしいものを見つけてきたわね。」

と言ってきた。


「そっか、そうだよね」


分かりやすく残念がる私を見てお母さんが


「そのアルバムの写真を見つけてどうするの?」

と、不思議そうに聞いてきた。


「どうもしないよ。ただ一枚だけ抜けてる写真が気になって。」

今、昨日見た夢の話をしても馬鹿にされるだ

け。


夢の中で、会った名も知らない男の人を探してるなんて言ったら、頭がおかしい奴と思われるかもしれない。

とりあえず、今は黙っておこう。


何かをひらめいたように

「あ、パパならなんか知ってるかもしれないよ?聞いてみれば?」

と、言ってきた。


「そもそもその父がどこにいるっていうのよ」

といいながら、溜め息をつく。


「それもそうね〜。あの人は本当に家にいないんだから。だめね。」

そう言い、父に呆れるお母さん。


そう、私の父は家にいることが少ない。

どこで何をしてるんだが、、


「そんなことよりも、今日はかれんの誕生日じゃない!お誕生日おめでとう!」

とお母さんが満遍の笑みで祝ってきた。


あ、そうだ、


夢のことで頭いっぱいだったけど、今日私の誕生日だ。


「ありがとう、、」

照れ臭そうに返事をした。 


それと同時に大事な娘の誕生日にも家にいない父に幻滅した。

今に始まった話でもないけど。


私の父は自由奔放で家にいることが少ない。そんな父に私は正直呆れてる。ここ数年は口も聞いてない。


「今日は盛大にお祝いするわよ〜。何が食べたい?」

と、ニコニコしながら聞いてくるお母さん。


あんまり食欲は湧かないが、そんなことを言って場をしらけさせたくない。


だから

「強いていうなら、寿司かな。」

と答えた。


「相変わらず寿司好きね〜。今日は寿司で決まり!」

と、一人で楽しそうに出前を取ろうとするお母さん。


私はとりあえず部屋に戻った。


結局収穫なしかー。


あとは父に託すしかない。

今日は流石に帰ってくるよね


お父さん

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