第一怪:私、あたし、メリー。今、あなたの学校に入学したの。
翌朝、臥伎陀芸術学校高等部1-C組の教室にて、
「あたし、
その一言で教室中が騒めき出し、男子には妬みで睨まれ、女子は色めき立ち、二人の関係を期待された。
「畜生! 羊神の奴、あんな可愛い子を侍らせるなんて、羨まし…いや、妬ましいぜ!」
「許嫁って、今どき聞いたことないわ。羊神君にあんなに可愛いガールフレンドがいたなんて!」
「何で、こんなことに…おい、メリー! 勝手なことを言うなよ!」
潤の文句に対し、メリーは唇を尖らせる。
「いいじゃん、これなら、潤に悪い蟲が憑かないし、幼い頃からの契約だってあるんだし!」
「ええ!? 子供の時から愛の誓いという契約をしたの!? 中々やるわね、羊神君!」
「おぉい、更なる勘違いが呼んでるぞ!」
「ぶー、私を長い間、ほっといた罰だよ。」
「くっそ! こんな可愛い娘を放置プレイか、けしからん! おい、そこ代われよ!」
「全く、お前って奴は!」
教室の皆が転校生であるメリーを中心に甘い雰囲気に流される中、三つ編みの麻色髪と黒い瞳、そばかすを持つ眼鏡っ娘である一人の女子生徒が彼女の前に立った。
「あの、メリーさんと言いましたか? 初めまして、
メリーは彼女の口から羊神の名前を聞いた瞬間、彼女を押し倒し、眼前に包丁を突き立てる。
今まで色めきだった教室は一変として、戦慄の空気が走り出し、教師や生徒たちは皆、青ざめた。
「羊神君と共に? あなた、潤とどういう関係なの? 恋人なんてほざいたら許さない! 私の潤を汚すなら意地でも別れさせてやる!」
「メリー、いい加減にしろ! 穂宮さんに迷惑をかけるな!」
「でも、こいつが! 潤に馴れ馴れしいから!」
「ごめんなさい、嫌です!」
潤とメリーが言い争う中、理夢は大粒の涙を流しながら、彼女に懇願した。
「すみません、メリーさんが潤君の幼馴染だとしても、私は潤君と、初めて出来た友達と別れたくはありません! お願いです、私から友達を奪わないで下さい!」
それを聞いたメリーは己を恥じて、包丁をすぐにしまい、理夢に謝罪した。
「ごめんなさい、理夢さん。潤のことになると頭に血が上って、本当にごめんなさい。」
「いいんです、メリーさんも悪気はないと分かりました。これからもよろしくお願いします。」
「分かったわ、同じ潤を愛する者同士仲良くしましょう。」
2人の和解に教室中の教師と生徒たちは感動し、涙を流し、拍手を送った。
しかし、当の潤は怒り心頭でメリーを睨み、彼女はビビってしまう。
「あっ、あの潤、ごめんね。潤のお友達を傷付けるような真似をして…」
「これから一ヶ月、ハグや頭撫で撫ではなしだからな、反省しろ!」
「えええ!? そんな酷いよぉ、潤!?」
メリーの悲鳴は教室から学校中に木霊した。
メリー・オカルティック・デイズ @kandoukei
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