第3話

朝起きて、学校に行って、いじめられて、バイトして、金を奪われる。

そんな生活を続けて、どんどんと自分の心は荒んでいく。

前々からこんな生活ではあったが、限界が来た。

”.....もう、嫌だ。死にたい。”

いつもの様にいじめが終わった後に、そう、ふと考えた。

”死ぬなら、どうせ死ぬなら。”

どうせなら、死ぬ前にきれいな景色を見て死のう。

バイトの給料....貰って帰ったらどこかに行ってしまおう。

今まで母を騙して貯めてきた金は、雀の涙ほどだがある。

これだけあるなら、どこか遠い所に行くくらいはできるだろう。

そう思ったら、そこからの行動は速かった。

まずはバイトに行って、辞める旨を伝える。

「すいません、急なんですけど今日で辞めたいです。」

「えっ!.....そうかい。わかったよ。」

「何か事情でも?」

「ああ....いや、何でもない。」

「?」

ともかく、これでバイトは辞められた。

問題は、母の方だ。

母がいればその時点で計画は頓挫する。

いないことを祈りながら、扉を開ける。

......よし、母はいないようだ。

今のうちに金を取って。

この家から出ていく。

そうして家を出て、駅に向かおうとした時。

一番聞きたくない声が後ろから聞こえてきた。

「おい、どこ行くんだ?お前。」

母だ。

「いや?少し外を歩いてくるだけだよ。」

「そうか、それなら行って....いや?お前、今日給料日だったよな。」

「金寄越しな。」

ここで、”もう帰る事は無いのだから最後に何か言って逃げよう”と思って、

「誰が渡すかバーカ!!!」

「は?」

どうやら、理解できなかったようだ。

しかし、だんだんと理解してきたようで、顔を真っ赤にして声を荒げながら怒鳴る。

「おまえ!!殺してやる!!!!」

その声を聞きながら、私は駅へと走った。

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