第4話

駅に着いて、すぐ切符を買った。

普通だったら、目的地までの値段を調べて買うのだろう。

だけど、僕が今から始めるのは今はわからない、どこかにあるであろう、終着点に行くための旅。

どこへ行っても構いやしない。

だから、できるだけ遠いところに行ける切符を買った。

どこで降りてもいいように。

私がこの切符でどこまで行くか、わからないけど。

少なくとも、今の気持ちから良くなる事は確かだろう。

ゆっくりとホームに歩みを進め、ホームで、列車を待つ。

....数分して、列車が来た。

人が下りるのを待って、列車に乗る。

なんとなく、窓側の席に座った。

そして、肘を窓の縁に置いて、肘に頭を乗っけた時。

列車は動き出した。


列車に揺られていると、自分の体が安堵でもしたのか、眠気が湧いてきた。

そして、ふと思った。

”飲み物でも、買っておけばよかったかな....”


目を覚ます。

またいつもの日々が始まるのか、と一瞬憂鬱になった。

けども、すぐに、今は列車に乗っている事、

.......何時間この電車に揺られていたのだろう。

もう外の景色には夜の帳が落ちている。

”.....そろそろ、降りようかな。”

そう思ったら、列車は減速を始めた。

”そっか、なら丁度いい。”


ホームに降り立って、自分の視界に飛び込んできたのは、

僕が知らない景色。

そして、空をなんとなく見上げれば。

”.....雪が、降ってる。”

自分の住む所では、雪なんて滅多に降らなくて。

ここに住む人たちには、冬になれば、嫌になるほど見る見飽きた景色なのだろうけど。

”嗚呼、なんて。”

”きれいなんだ......”

あまりの美しさに、

そう、言葉が零れ出た。


そう、黄昏ていたけど、大事な事を思い出した。

”宿を、探さなきゃ。”

そう、今晩寝る宿すらもまだ見つけていない。

”どこか、空いてないかな...”

そうして、降り積もり始めた雪を踏みしめながら、僕は歩き出した。

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