第2話 一撃必殺
「はぁ、ここが魔王城かぁ……」
ギルドのお姉さんに聞いた話によると、扉は厳重にしまっていて開けるには「ひかりのかぎ」が必要なんだそうだ。そんなん持ってねぇよ……
扉に手をかける。少し押してみると……
「あれ、開くじゃん。なんでだろ?」
俺は扉を開けると早速魔王の玉座に向かう。しかし一筋縄ではいかない。モンスターがうじゃうじゃと蔓延る。
「あれ、こんなにモンスターいるのに一匹も襲って来ないな」
すんなりと魔王の居ると言われる部屋の前まで来てしまった。こ、こえぇよ……帰っていい?
「しかし不自然過ぎる。一匹もモンスターと戦ってないし、ひかりのかぎ無しで扉開いちゃったし……完全に魔王の手の上で操られているのか……?」
さて、魔王を倒せばクエスト報酬は最高額。一生遊んで暮らせる。やるか……
魔王の部屋に入ると、玉座に座り不敵な笑いを浮かべる魔王が居た。
「お前も死にたいのか?」
「いや、死にたくない」
「じゃあ、帰るんだな」
「いや、お前を倒すと金が入るんだ」
「金に目が眩んだか?」
「いや、そういう訳でも無いが……。とにかく俺はお前を仕留める」
「いい度胸だ! かかってこいっ!」
俺は右手に力を込めると魔王の右頬に命中させた。凄まじい音とともに魔王は左側壁にめり込み、息を引き取っていた。御臨終。
「あ、あれ、倒しちゃった?」
クエスト達成の
【最初の街】
ギルドのお姉さんから大量のゴールドを頂くと、早速銀行に預けることにした。重いからな……
「おめでとうございます! やりましたね! サトウさんっ!」
「あ、ありがとうございます……」
「みんな歓喜してますよ!」
「は、はぁ……。でも、俺は目立ちたくないんですが……」
「ほら、記者からインタビューが来てますよ!」
最初の街に帰還した俺は街のみんなや世界中の人々から感謝された。けれど、まだ実感は湧かなかった。魔王があんなに弱いと思ってなかったから……
次の日もまた次の日も歓喜は止まず、少しうんざりした気分になった。家に居ても落ちつく時間が無く、俺は今回獲得したゴールドで【最初の街】を旅立つことにした。
世界は平和を取り戻した。魔物はもういない。空も輝き出した。十分なほどの幸せがこれから世界中の人々に訪れる。
これからが本当の俺の
//////////
最後まで読んでくださってありがとうございました!
m(_ _)m
ぼっちの俺、一撃で魔王を倒してしまう とろり。 @towanosakura
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