2024年12月4日。バナナ支離滅裂5

ハンターは何を狙っているのでしょうか。それが分からない事にはこっちも何をすればわかりません。しかし何も動かないというのが一番危険ではあります。なぜならば相手は銃を持っているからです。こちとら裸の身です。裸とはいえ、毛深いですがそれでも裸は裸であるし、銃などは防ぎようはありませんから、先手必勝が本来ならばふさわしいのですが、相手は相手の目はなぜか澄んでいました。だから様子を見てみることにしたのですが、すると相手が少しずつ近づいてきて、喋りかけてきました。「はろー」聞いた事のない異国の言葉でした。僕は同じく「はろー」と言ったつもりでしたが、口から出たのはうほっという声だけでした。それもそのはず。僕はゴリラなのですから。しかし相手は銃をしまいました。ナイフをしまいました。そして帽子をとって一礼しました。こともあろうかゴリラである僕に向かってです。「このゴリラはとても神聖だ。普通のゴリラとは違う。格が違う。核も違う。絵を描くとしても描き切れないほどのオーラを感じる。カリスマだ。カリスマゴリラだ。独裁カリスマゴリラである」とそんな事を言っているような雰囲気でした。雰囲気という事は実際にはいっていないということであるけど、そこの点に関して言えば主観的であるし、ただの自分の意見である。彼は何を言いに、何を目的に来たのだろうか。それを知らない事には友達にも親友にも家族にもぺっとにもなれない。「私はゴリラの胸板の秘密を探りにきた。本来であるならばそれだけ、ただそれだけの為に来たんだ。しかし……君のようなゴリラ。ゴリラカリスマがいるとは誰が思おう。そんな事思うことなど、予想することなどできるはずがない」とそんな感じの雰囲気を醸し出しました。つまりは言いませんでしたが、気持ちは伝わりました。

 そんな事を考えられてはゴリラとしても誠意をしめすしかありません。相手が一礼をしたのです。僕も頭を下げてドラミングをして、敬意をしめしました。

 相手がにぱっと笑いました。意思疎通ができたのです。その時です「危ない」ハンターが言いました。しかし瞬時にハンターは銃を取り出し、その音のした方へと銃をおうち放ちました。そして銃声が収まると、煙が収まると、血の臭いが辺りを漂いました。しかし森林の匂いと草と土と雨とカビと湿気の匂いによって血の匂いはすぐに消えて霧散してなむさんしました。そしてその銃声が向けられた方には倒れている獣がいました。それは虎でも象でもなく、恐竜でした。しかしなぜゴリラの自分が恐竜という概念を知っているのかはどう考えても深く考えてもわかりませんでした。

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