2024年12月4日。バナナ支離滅裂3

 ゴリラに食べられたバナナは予想通り、痛みは感じませんでした。意識がどのように霧散していくのかを説明するのはとても難しく、そもそもが誰に説明するでもなく、そんな意味は果たしてあるのか、いやないので説明するのはやめました。それはまさしく歩きながら景色を実況するのと同じだと思ってばかばかしくなったからでした。バナナは食べられてからどうなるのかと、待っていましたがやがてバナナはゴリラに消化吸収されて終わりかと思ったら気づけば胃になっていました。バナナはゴリラの胃になっていたのでした。つまりはゴリラの胃を乗っ取ったのか。って思いました。しかしながらそれがそれこそが自然の摂理というか宇宙の意思なのだろうとようやくバナナいや、元バナナは理解しました。ゴリラの胃になった元バナナは自分の事をゴリラの胃でゴ胃と呼ぶことにしました。ゴ胃は次はどうやったら更に上の段階に進む事が出来るのだろうかと思いましたが、そんな事考えていても無駄な事だし、なるようになるさと思っていました。とりあえずゴ胃になって数か月が過ぎました。ゴ胃はなんだか疲れてきました。自分が胃になった事で消化しなくてはならないのは使命感というよりは、食べ物が通ったら動かなくてはいけない動かざるを得ないという強制感に近いものでそれこそ生理現象みたいなもので遺伝に組み込まれているような感じでだんだんとゴ胃はむかむかしてきました。だがしかし全く何も出来ないというわけではなかったのです。少しなりとも自分はゴ胃の自分は胃に関して異を唱える権利がある事は分かってきました。それは数か月間やってきた事でゴ胃として生きてきた事で理解してきた真理というか経験に近いものかもしれなかったのです。だからゴ胃は試してみる事にしました。胃を激しく動かしてみる事にしたのです。するとゴ胃の外から音が、正確にはゴリラの驚きの声が聞こえたのでした。それはウホというよりは、振動を伴うヴホという感じでゴ胃は驚きよりもゴリラと本当に繋がっている、ゴリラの一部なんだという安堵&納得と言った感じでした。ゴ胃はしばしその後ゴリラに対してのゴ胃としての実験を行う事を開始することにしましたが、そんな事は当のゴリラは知る由もありませんでした。

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