2024年12月2日。バナナ支離滅裂2

 ゴリラにバナナである自分が食べられてしまう。それは一抹の不安というよりも大いなる不安だったのですが、しかしよくよく考えれば何も怖いものなどないのでした。なぜならばバナナの自分に痛覚というものはないのだからです。しかし痛みがないとはいえ、食べられたらどう意識が霧散してしまうのかなどを考えたらバナナは宇宙を思わずにはいられませんでした。そもそもがどうやって相手がゴリラだと分かったのでしょうか。目がないのにもかかわらずです。そこでようやくこれは夢みたいなものなのかもしれないと思いました。夢を見ているときは目を閉じているのですが、それでも映像は鮮明に映ります。そうだ。そういう事か。自分はバナナの夢を見ているんだ、とそう理解しました。しかし夢にしてはやけにリアルです。意識そのものでゴリラを認識しているという可能性もあります。そもそも自分がバナナだという認識があること自体が異常です。ということは私は昔はバナナではなかったのではないでしょうか。そしてその存在の時にバナナという存在を知っていて今自分がバナナだという事を理解しているのではないでしょうか。バナナは昔の自分に思いをはせました。しかしやっぱり思い出すことはなく、自分はバナナであるし、これからもバナナだし、過去もバナナなのかもしれないと思い、そんなバナナと思いました。

 ゴリラが目の前に口を大きく開けて近づいてきたのはそんな物思いにふけっていた時でした。

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