第3話 ひとりじゃつらい時も、ふたりなら!
みんなこんにちは!わたしは会垣十色。
ある日不思議な声に導かれて、行ってみた先には不思議なペンが一本置いてあって、しかも喋ったの!喋るペンによると、わたしこそがタマシイのチカラを受け継ぐウツワなんだって。
そのペンを握ると、不思議な光に包まれて、色の魔法使い、スリージェ・クープに変身しちゃったの!!!
このペンで何かを描くと、実体化して色々な事が出来るの。例えば、木の上に引っかかった紙飛行機を取りに行ったりとかね。
そんなわけで、わたしは目の前に困っている人や動物などがいたら、魔法のペンでスリージェ・クープに変身して助けてあげているの。
こうしてわたしは、この街で起こる些細なトラブルから大きな面倒事までを色のチカラで解決していった。
でもある日、登校中にこんなウワサを聞いたの。
「この前、かむおりの……みこと?とか言う奴に助けられたんだ。折り紙のチカラってすげえと思ったよ」
道端のおじさんのお喋りをたまたま聞いた。もしかしたらわたしの他にも色の魔法使いがどこかにいるみたい。
「でも今は、学校の事を考えなくっちゃ!」
あらためて言うけど、わたし会垣十色はごく普通の小学四年生。いつもは学校で勉強やスポーツなどを頑張っているの。クラスには楽しい人や優しい人も多くて過ごしやすいけど、一人だけちょっと雰囲気が違う子がいるの。
「この問題分かる人」
「はい……答えはこれです」
「正解」
「神衣さんすごーい!」
「わたし、まだ考えてる途中なのに……」
同じクラスの神衣志織ちゃん。わたしと席は離れているけど、遠くからでも何とも言えない強いオーラを放っているの。勉強の時間も色々な問題をズバズバ答えていく。
「今日の体育はドッジボールです!」
「そこだっ!!!ハアッ!!!」
バシッ!バシッ!バシイッ!!!
「今日も神衣さんのチームが圧勝!」
「ふえぇ……神衣ちゃんの投げる球、わたしには見えないよお……」
……なんだかんだで、今日の授業の時間は過ぎていった。神衣さんって人は、頭脳明晰でスポーツ万能。色々な事を何でも出来るからクラスのみんなの人気者なんだよね。でも放課後、わたしを含めて他のクラスメイトが一緒に遊びに行こうと誘っても……
「わたしこの後駅前のデパートでお買い物したいんだけど、神衣さんも一緒に行く?」
「会垣か。俺はこの後家で稽古だ、すまんな」
って言ってすぐ帰って行っちゃった。それでもわたし、もっとあの子と仲良くなりたいな。なんて考えながらも
「うーん……そういえばあのデパートに、最新のお絵描き用のペンが入荷してるみたい!貯めたお小遣いで買いに行こう!」
わたしは帰宅後にお小遣いを取り出し、いつもわたしが良く買い物に行くデパートでお買い物をしようと思ったんだけど……!
・・・
「もうすぐデパートに着くね……?」
デパートの前に来ると……!
「な、なにあれ……!」
デパートの8階からは熱い火の手が上がっていた……!窓からは炎と煙が禍々しく噴き出ていた……!
「ど、どうしよう……」
逃げ遅れて取り残された人達は助けを求めているに違いない……すると、リュックの中の魔法のペンが喋った!
『十色さん……今こそチカラを使う時です!』
「う、うん……!」
わたしはすぐに人のいない所に行くと、虹色のペンを構えてこう言った……!
『フルール・ドゥ・スリージェ・カラーズ!!!』
シュピリーーーーーン♪
するとわたしは光に包まれて、スリージェ・クープに変身した。
「世界を彩る一撃!スリージェ・クープ!!!」
で、変身したのはいいけど、この火事はどうやって止めればいいのかな……すると、魔法のペンが言った。
『ここではアクアセットにパレットチェンジするのです!』
「パレットチェンジって?」
『あなたにとって、水を連想させる色を想像しながらペンを握って下さい』
「分かったわ……こうね!」
わたしは言われた通りにした。すると!
シュピーン!キラキラッ!
わたしの衣装は、いつものピンク、水色、黄色から、青、水色、薄紫の三色に変わっていた。
『その姿で水や魚を描いてあのデパートの中に行くのです!』
「わ、分かった!やってみるよ!」
パシャパシャ!ザパアッ!
わたしはすぐさまペンで水と魚などを描くと、あのデパートの火事を消してとお願いして、一緒にデパートの中に入って、火の手が上がる8階まで階段で登っていった!
しゅばああああああ……
「すごい……通っただけで火が消えていく……!」
わたしが描いた水や魚は、デパート8階から出火した火を次々と消していった。わたしは火を消しながら、逃げ遅れた人達のいる所へと急いだ!
「皆さん!大丈夫ですか!」
「あ、あなたは!」
「助けが来てくれたのか!」
「うわああああん!!!怖かったたよお!!!」
逃げ遅れた人達に怪我人はいなかった。あと少しでも救出が遅れていたら大変だった……!逃げ遅れた人の中には、この前紙飛行機が引っ掛かったのを取ってあげた男の子もいた。
バラバラバラバラバラバラバラバラ……
すると、窓の方に救助隊のヘリコプターが近付いて来た。けど、何かおかしい……!
「あのヘリコプター、後ろから煙が出ている……しかも、こっちに近付いて来ている!?このままじゃこっちにぶつかっちゃう!?」
ヘリコプターは後部から黒煙を上げながらわたし達のいる所をめがけて突っ込んで来た……!
「わあっ!もうダメだあっ!!!」
ズオッ!!!
激突寸前で、ヘリコプターの動きが止まった。よく見ると、ヘリコプターの至る所に、折り鶴らしきものがくっついている!
「折り鶴……!?」
すると、赤と青と緑の服を着たわたしと同じぐらいの背丈の人が窓から現れた。あれがひょっとして今朝のウワサに聞いたかむおりの……みことって人なの!?
「俺の折り鶴がヘリコプターを支えている!さあ、早くこれに乗って脱出するんだ!」
「あっありがとうございます!!!」
「これで助かるんだ!」
こうして、デパートの火災はわたしの描いた水と魚によって鎮火して、逃げ遅れた人達は小さな折り鶴が支えるヘリコプターに乗ってそのまま地上へと降りていった。その後の調べによると出火の原因は、機械の老朽化による漏電だったみたい。ヘリコプターの方も、点検前のものを急遽発進させたから、エンジントラブルを起こしていた。もしあの折り鶴が来なかったら、わたしも含めどうなっていたか……。
ヘリコプターが人々を地上に降ろすのを確認すると、三色の服の人はその場を去ろうとした。
「これで、今日の勤めは終わりだ」
「あっ!ちょっと待ってよ!」
わたしはすぐに三色の服の人の後を追った。
* * * * * * *
神織神社。
「今回も、勤めを果たせたな……ん?」
わたしは一生懸命にその人を追いかけてきた。
「ハアハア……やっと追い付いた!」
「さっきから付いて来るお前は誰なんだ?」
「わたしはスリージェ・クープ!デパートの火事を消したのはわたしなの!あの折り鶴でヘリコプターを支えたのって、キミなの?」
「ああそうだが、お前が火事を消したのか……そうか、どうやらお前も俺と同じ存在のようだな、俺はカムオリノミコト」
「カムオリノミコトさんも、色の魔法使い、マジックカラーズなんだよね?」
「まあ、そういう事になるだろうな……よし、お前になら本当の姿を見せられる」
てけてけてん♪
カムオリノミコトさんは、変身を解くと、その姿はあの神衣志織さんだった。
「やっぱり、神衣さんだったんだ!」
ぱしゅんっ♪
わたしも変身を解いて会垣十色の姿を見せてあげた。
「会垣……そのチカラをどこで……!」
「えっとね!ある日不思議な声で呼ばれて……」
わたしは驚く神衣さんに、このペンの事とか、スリージェ・クープさんの話とかをした。
「……つまりこのカムオリノミコトも、マジックカラーズとやらのチカラなのか」
『はい、色の魔法使い、マジックカラーズは世界中にあらゆる形で存在しています。スリージェやカムオリの他にもいましたが、他はどこにいるものか』
「神衣さん!これからはわたしと一緒に困っているみんなを助けてあげようよ!」
すると、神衣さんは言った。
「ならば条件は、稽古の邪魔にならない範囲で仲良くする事だ」
「分かった!ありがとう神衣さん……いや、志織ちゃん!これからもよろしくね!!!」
「そう呼ぶか、十色よ。志を同じくするのなら、普段から交友関係を深めていかなければならぬ。ではまずは折り鶴の折り方を教える所からだ!」
「ええええ〜〜〜〜!?」
そしてわたしは志織ちゃんに、折り紙の折り方をみっちり教えられたのでした……これが、わたしと志織ちゃんが初めて友達になった日。そして、マジックカラーズとして一緒に頑張ると決めた日。
* * * * * * *
別の日、また大きな事件が起きた。
「大変だー!この状況、誰か何とかしてくれー!」
事件の現場に駆けつけたわたしと志織ちゃん。
「行くよ!志織ちゃん!」
「ああ行こう!十色!」
わたしと志織ちゃんはそれぞれのアイテムを持って!
「フルール・ドゥ・スリージェ・カラーズ!!!」
「神衣顕現!!!」
シュピリーーーーーン♪
ティロリラティロリラリン♪
色の魔法使いに変身した!
「世界を彩る一撃!スリージェ・クープ!!!」
「折り綴る色彩の調べ、カムオリノミコト!!!」
そして、新たな困難に果敢に立ち向かっていくのであった。
「「わたし達、マジックカラーズ!!」」
つづく
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