EP14.襲撃決行の日。その日のことはもう、思い出したくない。(4)
「今回の報酬だ。討伐の協力に感謝する。」
憲兵から討伐報酬として、金貨の入った袋を渡される。ソーンはそれをパズルに渡し、中身が誤魔化されていないかの鑑定を頼んだ。
「……確かに。金貨が報酬分入っています。今回は踏み倒されてる心配はしなくて良さそうですよ。」
「そうか。それなら何よりだ。戻って取り分の相談でもしようぜ。」
「……あたし、いらない。」
アカシャが俯いた顔で言う。その心中に概ね察しはつくが、ソーンはため息をついて言った。
「働いた分の成果は貰っとけ。でないとお前、食っていけないぞ。」
「でも……!」
そう反論しようとするアカシャの声を、一つの大きな声が遮った。
「号外!号外ーーーッ!」
「サウザホーン王国にて、出現した魔王の討伐依頼だ!!!魔王が出たぞーーーっ!」
アカシャ達も含め、宣伝する青年の放った言葉に、皆が総毛立った。
魔王。かつて西方を支配した、悪夢の記憶が蘇る者。記憶にはないが、憎むべき巨悪として教えられている者。善も悪も問わず、一攫千金の好機と見做す者。皆がその青年の方を、ギラギラとした目で追っていた。
「助けてくれーーー!ワシの国を取り戻してくれ!!!」
「報酬は、我が国が可能なことならば、なんでも願いを一つ叶えてやる!だから魔王を討ってくれ!!!」
豪奢な身なりの初老の男が、続けて泣きつくように叫ぶ。
「なんでも願いを叶える」という言葉に釣られて、冒険者たちの目は、更に輝いた。
「……魔王。」
魔王の討滅と同時期に生まれたアカシャには、魔王の記憶はなかった。
ただそれが、人も魔族も、多くの者を傷つけた存在であること、決して許してはならぬ悪であることを、母からしっかりと教わっていた。
アカシャは黙って、その身なりの良い男性に近づいた。
「おじさん、詳しく教えて。その魔王のこと。」
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異世界花嫁修行 あたし、お嫁さんが欲しいから、人と魔族の共存のために無双します! ごぶーまる @goboomaru
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