EP13.聞き込み!グラディアともお話ししたよ!(4)

「当たり。手配書にあった二人が、洞窟に入っていくのを見たよ。」


偵察に行ったアカシャが、偵察結果を報告する。パズルとソーンも周辺の聞き込みをしていて、その結果を共有しているところだった。


「こっちも当たりだ。俺が木こりに話を聞いたら、この辺に義賊がいて、この辺の木こりもその恩恵に預かってるらしい。」ソーンが忌々しげに言った。


「なら、決まりですね。作戦を立てて、明日にでも決行しましょう。」


パズルがそう言うと、アカシャとソーンが白い目でパズルを見た。


「な、なんですかその目は。僕が足手まといみたいじゃないですか。」


ソーンがアカシャに尋ねる。「なぁ、パズルを戦力として、連れて行きたいと思うか?」

アカシャはこう答えた。「ううん。土壇場で棒立ちしそうだから、はっきり言って邪魔。武器と防具の強化だけお願いできる?」


「そ、そんな……!」


パズルはその対応にショックを受けつつも、図星を刺されてしまったので、仕方なく武具に強化をかけることに専念することにした。

その様子のパズルを見つつ、アカシャはソーンに問いかける。


「ね、ここまで来ちゃったけどさ、ソーンはなんでそんなに義賊の討伐にこだわるの?」

「義賊って、やり方は間違ってるかもしれないけど、彼らなりに魔族を守ろうとしてるんじゃないの?マークスとジュナって、そんなに悪い人じゃないんじゃないかな?」


ソーンは天を仰いで答えた。


「『悪い奴か?』と聞かれたら、答えは『悪い奴じゃない』になるだろうな。」

「だがお前の言う通り、あいつらはやり方を致命的に間違えてる。そうしちまった魔族は殺されるしかねぇんだよ。」


アカシャは反論する。「だったらさ!盗んだ分を償って、もうしませんって約束させられたら、彼らはいい人になれるんじゃないの!?」

「殺す必要なんて、なんにもないじゃん!」


ソーンはため息をついて答えた。

「人間だったら、そうだっただろうな。」

「知っての通り、魔族には戸籍がねぇ。魔族は人と認められてねぇ。だから少しでも間違いを犯した魔族に、更生の余地は与えられねぇんだ。」

「生け捕りにして憲兵に突き出しても、その場で処刑されるのがオチだ。だから許せない魔族は、殺すしかねぇんだ。」


「そんな……!」


アカシャの瞳に、絶望の色が宿った。ソーンはそれを見て、アカシャに目線を合わせてかがみ、頭を撫でた。


「つらいよな、悔しいよな。わかるよ。」

「でもそうやって怒りながらも、正しいやり方で、若ぇ奴らが現状に抗ってくれるのが、俺の何よりの希望なんだ。」

「アカシャ。お前はどうか、道を踏み外してくれるなよ?」


アカシャは涙目になりながらも頷いた。それを見てソーンは、満足そうにアカシャを抱きしめ、背中をさすった。

そんな中、カルロが気まずそうに咳払いをする。


「……それで?私はついていった方がいいのか?戦力にならなさでは、私はパズルと同じくらいだが。」

「……いや、お前は来てくれ。むしろお前が鍵だ。」


「……は?」


ソーンの答えにカルロは疑問を抱きつつ、作戦会議のための夜は更けていった。

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