EP13.聞き込み!グラディアともお話ししたよ!(3)

 ソーンたちはグラディアからの情報を共有し、紹介された買い取り業者の元へと向かっていた。幸いにも店舗が今いる街にあったため、全員で向かおうという話になったが、その道中で、カルロがふと思いついて、提案した。


「この聞き込みは、私とアカシャだけで行った方が良いのではないか?」


パズルとソーンは、嫌々ながらもその理由を察していた。アカシャだけがそれを察せずに、理由をカルロに尋ね、カルロはそれに答えた。


「魔族の義賊の活動により、魔族が盗品を買い取り業者に流しているのだろう?ならば見た目で魔族とわかる二人は、業者から見たら警戒の対象なのではないか?」


アカシャが反論する。「えーっそんなの差別じゃん!」


パズルが宥める。「まぁ、魔族ってそういうものですから……」

「そうですね、そこはお二人に任せていいですか。ソーンさんもそれでいいですか。」


「構わねぇよ、塩撒かれなくて済むなら、願ったり叶ったりだ。」


ソーンもこういった事態には慣れているようだった。むくれるアカシャをなだめつつ、カルロはアカシャを連れて、買い取り業者の元へ向かうことにした。


 業者の元へ辿り着き、今回の要件は買い取り依頼ではなく、義賊の活動についての聞き込みであることを話すと、買い取り業者の人間の青年は、堰を切ったように義賊からの被害について話し始めた。


「もうねぇ、うちもこんなことされると、商売あがったりなんですよ。盗品なんか出されたら、憲兵に返さないといけないし、買い取った分のお金は返ってこないしで、大赤字なんですよ!」

「そろそろ『魔族お断り』の看板を出すかどうか悩んでいたところなんです。けれどそれをやると、街エルフとの取引がなくなってしまうし、どうしたものかと……奴らを討ってくれるなら、情報くらいいくらでも差し上げますよ!」


「はぁ……それはお気の毒に。」カルロは青年の魔族嫌悪っぷりに少し引いていたが、深刻な悩みだったのだろう……と心の中で同情していた。


「それで、私達が知りたいのは、義賊がどこを根城としているかなんだが……わかりそうか。」


「ああ、はい、そうですね。実はうちは前々から、魔族のお客様には色々お話を伺ったり、独自で調査をしたりしていたんですよ。」

「その結果、概ねのあたりはつけています。今地図を持って来ますね。」


「本当か!それは助かる!」


業者の青年は、地図を持ち出して、その一つの地域を指さした。


「ここですね、水鏡川の側、ヒュージー山脈あたりの地点にあると、我々は考えています。」


カルロはそれを見て唸った。南方出身の彼は、差された場所がどんな場所なのかわからないのだ。


「アカシャ、何かわかるか?」困り顔でアカシャに尋ねた。


「んー、あたしも完璧に詳しいわけじゃないんだけど、このへんってアイトの森があるとこじゃない?」

「山がちで畑にするのも羊を飼うのも向かないから、村があるって話は聞かないし……木こりくらいしか住んでないようなところなんじゃないかな?」


「なるほど……それは、盗賊の根城にするにはぴったりの場所だな。さほど遠くもないし、そのあたりにひとまず向かってみようか。」カルロはそう言って、今後の方針を決めた。


「同業者との連絡によると、昨日また盗品の持ち込み案件があったらしいんです。ということは、数日前には盗みを終えて、今頃アジトで次の目的地に目星をつけているところなんじゃないでしょうか。」と買い取り業者が補足する。


「そうか……ならば急がねばな。情報提供に感謝する。」


そうして買い取り業者とのやり取りを終え、二人は見た目魔族組と共有し、アイトの森のある場所へと向かった。

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