EP13.聞き込み!グラディアともお話ししたよ!(2)
「もしもし、グラディアだけど。これで連絡してくるってことは、アカシャね?」
「うん。元気してた?……えと、この魔法道具くれて、ありがとね。」
アカシャとグラディアは軽く言葉を交わした。人魚は無事に川の里親の元へ行ったこと、今は義賊討伐の依頼を受けて、グラディアが何か知っていないかと情報を求めて連絡をしていることを話した。
「せっかく、色んなおはなし出来る道具もらったのに、こんな使い方しちゃって、ごめんね?」
「ううん、むしろそうやって電話じゃできない話をするために使うものだから、ちゃんと使ってくれて嬉しいわ。」
「でも、義賊……そうねぇ。これは私の意見なんだけど、言っていいかしら。」
「いいよ、何?」
「なんでアカシャがその義賊を討つ必要があるの?魔族の味方なんでしょ?」
「人間どもが私腹を肥やしてるのは、少なからず魔族の低い地位を利用してるからよ。そうやって得た金品を奪い返す義賊は、正しい行いをしてるんじゃないの?」
「それは……。」
アカシャは言葉に詰まってしまった。実のところ、アカシャも似たような考えで、ソーンが義賊にあれほど強い殺意を抱く理由を、理解していなかったのだ。
口ごもるアカシャの様子を見て、グラディアは続ける。
「まぁ、報奨金目当てで討ちたいというなら、止めないわ。」
「そうね……大した情報じゃないんだけど、村人たちは、金銀財宝を押し付けられても、換金できなければ困ってしまうはずよ。」
「村人たちは必ず金品の買い取り業者を利用しているはず。その業者はいくつか知っているから、話を聞いてみたらいいと思うわ。」
と言って、グラディアは金品の買い取り業者を紹介してくれた。アカシャはそのことにお礼を言った。
「義賊を本当に討つ必要があるのか……仲間にも聞いてみるよ。ありがとね、グラディア。」
「どういたしまして。アカシャって意外と深く考えるタイプなのね。」
「そうなのかな?あんまりそう言われたことはないけど。」
「金目当てで飛びつかない時点で、だいぶ理性的だと思うわ。でも思いつめないでね。それじゃ。」
「うん、またね。」
そう言って通話は切られた。アカシャは通話機の魔法道具を下ろし、義賊の正しさについて思いを巡らせていた。
「ソーンはどうして、あんなに義賊を嫌がるんだろう……?」
そう呟いて、仲間たちの元へ戻った。
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