EP12.ソーンって真面目なんだよね。ああ見えて悪いことにすごく厳しいんだよ。

 帰宅してから三日後、ソーンは早々に家を離れることになった。毛布を買ったせいで、ゆっくり過ごすための金がなくなってしまったためだ。また一ヶ月の道のりを経て、仕事探しのためにソーンは水鏡川周辺に戻ってきて、ふらりと入った酒場のドアを開けた。

 すると、アカシャパズルカルロの見慣れた顔ぶれが、酒場で屯していたのだ。


「なんだお前ら、まだいたのか。」


「このへん仕事に困らなくてね〜行ったり来たりしてたけど、今日はたまたま顔合わせたの。」


「僕も、概ねゲートの調査を終えましたから。これからどうしようかと駄弁ってたところだったんです。」


そう言うと、三人は机と顔を交互に見合わせて、こそこそと話始めた。


「戦力足りなかったけど……ソーンがいるなら話は別なんじゃない?」


「そうだな……彼らは見過ごせない存在だ。」


「お前ら、人前で何こそこそやってんだよ。」


ソーンはずかずかと三人の間に割って入って、机の上にあるものを見た。

それは、義賊「マークスとジュナ」の討伐依頼書だった。

それを見てソーンは目を見開いた。妻に聞く限りでは、妻子に施しをした義賊と、同じ名前だったのだ。


アカシャは言った。「カルロがどうしてもこの依頼受けたいって言うからさ。確かに報酬はいいんだけど、あたし一人じゃ戦力不足じゃない?って話してたとこだったんだよね。」


「……受ける。」


「えっ?今何て?」


「俺はこの依頼を受ける。こいつらの首を、必ず憲兵に引き渡す。」


ソーンは即決した。その瞳には怒りが宿っていた。

三人はソーンが義賊に対して否定的だったことに、少しばかり驚いたが、それならば都合が良いと、深く掘り下げないことにした。


「それなら、この依頼を受けるで決まりですね。僕もゲートキーパーとしての仕事が今はないので、後方支援ですが、お手伝いしますよ。」


パズルが話を簡単にまとめた。それでもソーンの関心は、義賊を討つことに向いていた。


「義賊……ぶっ殺す……!」


三人はソーンの殺意に戦々恐々としていたが、頼もしい仲間の復帰に、安堵している側面もあった。

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