EP5.いい奴だけど貧弱なヤツ。ボコボコにされてるんですけど!?(3)
「……はい、これで治療は終わりました。……本当に、人魚を護ってくれて、ありがとうございました。」
翌朝、パズルがカルロに回復魔法をかけ終わったところだった。カルロの損傷は酷いものだった。肋骨が折れていたり、内臓にも内出血を起こすほど酷くやられていた。それらを全て回復魔法で治療し終え、パズルは疲労感で椅子の背もたれにもたれかかった。
「うー……疲れたし、頭痛いです……お水ください……。」
それだけではなく、パズルは二日酔いにも苦しんでいた。同様に青い顔をしているソーンが、黙って水差しからコップに水を注いだ。どうやら二日酔いは回復魔法では治せないようだ。
ソーンがカルロに対して口を開く。
「それにしても、人魚の肉にそんな迷信が付き纏っていたとはな。俺たちも警戒が足りなかった。教えてくれたこと、素直に感謝する。」
「王族として当然のことをしたまでさ。……ところで、加入の件だが、検討してくれただろうか。」
パズルはコップの水を飲み干し、答える。
「そうですね……現状だと、戦力不足なのは否定できないと思います。」
「その上でカルロさんは、楽器が弾ける上に、南方と、上流社会の知識もあるんですよね。」
それに加えてパズルは、口にはしなかったが、純粋な人間がいてくれた方が、何かと対人間の交渉には有利に働くだろうと考えていた。見た目から魔族とわかるパズルとソーンが警戒されるのは勿論、アカシャにも人間だと偽らせるのはあまり得策ではないと考えていた。
「僕は加入させてもいいと思います。二人はどう思いますか?」
「あたしはまぁ……賛成かな。人魚ちゃん助けてくれたし。」
「俺は反対だが……雇用主はお前だ。好きにしろ。」
「わかりました。ではカルロさん、これからよろしくお願いします。」
パズルは頭を下げた。その様子に、カルロは内心素直に喜んでいたが、すぐに尊大な態度を振り翳した。
「任せたまえ!このカルロ・フォン・ヴァージニアがいる限り、道中の安全は保障しよう!」
カルロ以外の全員はこう思った。「彼は戦えないのに、その自信はどこから湧いてくるんだ?」と。
こうして、カルロが仲間に加わった。カルロは独特な立ち位置と尊大な態度故に、パーティメンバーから少し雑な扱いを受けることになるのだが、それはまた少し先のお話。
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