EP2.狼男との出会い。無愛想だけど、きっといい人だよ!(3)
「はぁ……魔法石ゲートを探せ、なんて、あの人も無茶言いますね……。」
パズルはため息をつきつつ、街を歩いていく。
「魔法石ゲートって、そんなにないものなの?」アカシャが無邪気に尋ねる。
「はい、そもそも魔法石ゲートは、ここ50年くらいになって初めて発見されたものなんです。」
「それ以前は魔力は気体の状態でこの世界にやってきてたんですけど、最近は液体の魔法水ゲートや固体の魔法石ゲートも発見されつつあります。」
「ただ、やっぱり気体のゲートほど無数に存在するものではないですね。希少です。」
「へーそうなんだ。そういえば、あのワーウルフの人、『街エルフが高く買い取ってくれる』って言ってたけど、街エルフから話聞けないの?パズル君、おんなじエルフじゃん。」
「僕は森エルフなので、街エルフの人たちとは面識がないんですよ。話してもまともに取り合ってくれるかどうか……。」
「そもそも街エルフは、なんで魔法石を買い取ってくれるの?」
「それは、彼らの作る魔法道具の材料に、魔法石を使うからですね。魔法石は魔法道具の魔力源になるんですよ。」
「じゃあ街エルフがよく行く場所に、もしかしたら魔法石ゲートがあるんじゃない?」
「……なるほど、それは一理ありますね。少し聞き込みをしてみましょうか。」
聞き込みをした結果、街の外れに、街エルフの溜まり場になっている場所があることがわかった。二人はそこに行ってみることにすると、まさに空中から石が沸き出す場所があった。
「!見つけました!あれが魔法石ゲートです!」パズルは嬉しそうに駆け寄る。
「これが魔法石なの?ただの石に見えるけど」アカシャは首を傾げる。
「おそらく。今ちょっと魔力測定器で測ってみますね……。」
パズルがリュックの中を漁っているうちに、背後から声がかかった。
「おい、そこで何してる。」
振り向くと、ガラの悪そうなエルフの男二人組が、武器を片手に側に立っていた。
「兄ちゃん、見ない顔だな?この辺の街エルフじゃねーだろ。」
「ここはオレらのシマだ、そこの石置いて、とっとと帰りな。」
「え、ですが、このゲートは未だ報告されてなくて……。」パズルは困惑しつつ答える。
「そらそうだろ、ゲートキーパーに報告したら、ここの魔法石を独占できなくなっちまうだろ?」
「察しが悪いなぁ兄ちゃんたちよ、同じエルフのよしみでここに立ち寄ったことは見逃してやるから、とっととその石置いて帰れって言ってんだよ。」
「さもないと……なぁ?」
武器にはよく見ると、僅かな刃の欠けがある。手入れされているが、よく使われてもいることが見てわかった。
「……!行きましょうアカシャさん」
「え、でも……!」
「同じ人同士で荒事になるのは不味いです!ここは引いて、桶は別のものと交換してもらいましょう」
あまり納得しないアカシャの手を引きながら、パズルは魔法石ゲートのある場所を後にした。
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