第11話:オソガル少年の疑問
湯気がたちのぼるスープ。澄まし仕立てのスープはゴロゴロと肉が浮かぶ。
蒸し直した川魚は皿によそう時は身離れが良すぎて、形を保てないほどだ。
用意された品を前に、ヴァジナは満面の笑みである。
「今朝も見事な良い男っぷり! わしは嬉しいぞ。オソガル!」
起床時に
「お師匠のご指導のおかげです!」
オソガル。健気な少年である。
「さあ、オソガル。冷めぬうちに食べよう。沢山食べるのも強くなるコツだ。お前は男だ。強くならねばならない。もう入らぬと思っても、まだまだ食べねばならない。手伝ってやる。さあ、わしのお膝にお座り」
ヴァジナは小屋に一脚しかない椅子に深く腰掛ける。オソガルの椅子はない。ヴァジナの膝がオソガルの椅子である。
「……お師匠! お言葉ですが。僕は昨日知りました。立派な男は女の膝で食事をしないと言われました。それは、赤ん坊のすることだと」
「ほう! だからか。昨日、お前はわしの席にこなかったのか。お前が膝に座るのをずっと待っておったのにな。そうかそうか。ちなみに、それをお前に言ったのはどいつだ?」
ヴァジナはオソガルに拒絶されたことに対して、
「お師匠。その人物の名前を言ったらどうなりますか?」
「いやいや。ただの興味だ。誰の発言かによって、意図は変わってくるものだろうから。もしも、これが年端のいかぬ子どものそれなら、反発心や見栄からと予想する。であれば、オソガルは鼻で笑っておけばいい。お前はこれからもっともっと強くなる。大きくなる。そのためには食わねばならんのだから。これも修行だ――」
ヴァジナは言葉をくれながら、もたもたしているオソガルの両脇に両手を差し込み、膝の上に座らせた。
「――しかし、それを申したのが、男ぶりたくましい大人の場合であれば。また違った話だ。確かに立派な男というのは女の膝の上で、飯は食わん。だけど、それはただの事実である。お前は良い男たらんと、努力をしている
あれこれと言われて、オソガルは師匠の膝の上で食事が始まった。師匠に言われると、何かしらそういうものだと妙に納得してしまうのだ。
オソガル少年。素直である。
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