第5話:煩悩の塊! ヴァジナ登場!
今から、ソンガンにおいて最も乳がデカい女。ヴァジナについて語ろう。
ヴァジナはソンガンの武術指南として、里に身を置いている。彼女の生まれから始めたら、長尺となるのでその説明は控える。いつかは語ることもあるかと思われるが。今、そのことを語ると読者の皆さん、彼女が大好きになってしまうからだ。
先ほどの宴会のことからわかるように、ソンガンの冠婚葬祭や会議、諸々の雑務は広間で行われる。ヴァジナがオソガル姉弟を引き取ると豪語したのは、5年前の雪深い時期。広間でのことだ。
子を引き取るとは言うものの、彼女に夫はいない。夫をすっ飛ばして子どもを引き取るというのだ。よほどのことである。
夫がいらないわけではない。むしろ、ヴァジナは夫を欲しがっていた。
「お前たち男が軟弱だから、わしはいつまで経っても結婚できない。結婚できないから、子どもも作れない。仕方なし、子どもの面倒でもみてやろう!」
しかし、わがまま放題。ヴァジナは自分よりも弱い男は伴侶としたくないのだ。
子どもは持ちたい。なかなかの心意気。まっとうである!
個人的な私見ではあるが。
ヴァジナは5歳と11歳の子を持つには少々若く見える顔立ちである。
しかし。
里の大人たちは、ヴァジナが見た目通りの年齢ではないことを知っている。
ソンガンにおいて、武を通じての鍛錬は「必須」とも言える教養である。
それは男も女も区別なく、幼い頃から鍛錬に励むことになる。
となれば、ソンガンの老いたものから若いものすべてが「ヴァジナの弟子」である。
里の男たちには共通の経験がある。
一度はヴァジナを嫁にせんと武の極みを目指す。
女たちはそれが気に食わない。
ところが誰も、ヴァジナに勝てない。男たちはやがて諦めたように他の女たちに求婚する。
女たちはそれ
里の者たちが、ヴァジナにおしめを替えられているし、ヴァジナに看取られた。
数百年の不敗神話。
武神の寵愛を受けた亜神のヴァジナ。
願いは誰かに敗けること。
もちろん、ソンガンの大人たちはヴァジナの願いを知っている。
男が不審げに訊ねた。
「ヴァジナ。あなたが子を育てることに誰も異論はない。異論はないが」
「なんだ」
ヴァジナは敬われている。しかし、全てが思うままにいく訳では無い。
「オソガルが幼く、愛らしい年端のいかぬ少年だからといって、やましい考えはないか?」
大人たちは鋭い。ヴァジナが邪な考えを持っていることを承知なのだ。
武の極みにある達人であるヴァジナも心は隠せぬか。揺れる瞳に浅い呼吸。ヴァジナの返答をじっと待った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。