第12話 学園生活と授業風景と、あと部活動の話5
捜査局。
魔法や魔法技術によって起こったと考えられる事故や事件を、捜査する組織である。
管理局とも協力関係にあり、無断で世界を渡った者を捕まえたりすることもあるとか。
「とにかく、大人に任せておけばいい」
俺も自分に言い聞かせる。
「うん、そうだね」
オーレリアも同意してくれた。
「とにかく、今はライリーの様子を見に行こう」
「うん」
俺たちふたりはライリーの様子を見に、保健室へと向かった。
保健室には、保険医と保健委員である上級生、ライリーを運んできた教科担任とクラスメイト、そしてフィーがいた。
ライリーはベッドで寝かされ、穏やかな寝息を立てている。
教科担任と保健医が俺たちに気づく。
とりあえず、ライリーは眠っているだけらしい。
「もう少し寝かせておくから、放課後の用事を済ませたら迎えにきてね」
保健医にそう言われた。
どうやら、部活見学があるから気を使ってもらったようだ。
ライリー、家庭部のビュッフェ行きたがってたのになぁ。
まぁ、まだ見学の期日はあるし。
明日でもいいだろう。
そうして、俺含めて生徒は全員、保健室から出されてしまう。
クラスメイトと保健委員たちも去り、俺たちもとりあえず一旦教室に戻って帰り支度をする。
というか、帰り支度もだが、トレーニングウェアのままだったので着替えなければならない。
各自更衣室で着替えを済ませ、なんとも言えない空気で合流する。
「今日、二人はどこに見学行くんだ??」
「うーん、今日はもう寮に戻ろうかな」
フィーは気分が乗らないらしい。
オーレリアもそれは同じだった。
「カキタは?」
フィーに聞かれ、答える。
「同好会の方を見ようかなって」
「同好会?」
「そう、旧校舎の方で活動してる人がいて。
こんなことがあった後だから、不謹慎って言われるかもだけど、気分を切り替えるためにも行こうかなって」
フィーとオーレリアが顔を見合わせる。
「ねぇ、私もついて行っていい?」
フィーがきいてくる。
オーレリアも手を小さくあげながら、
「私も行ってみたい」
言ってきた。
断る理由はないので、快諾する。
ライリーに対して冷たいと思われそうだが、寮で鬱々とするよりは良いはずだ。
旧校舎まで来ると、建物の中から声が聞こえてきた。
なにやら、騒がしい。
昨日のお菓子先輩とのやりとりが思い出される。
もしかして、ウィスキーボンボンでも食べて、乱痴気騒ぎにでもなったのだろうか。
「ほかに見学してる人でもいるのかな?」
フィーは騒がしさを、ただ賑やかな勧誘ととったらしい。
とにかく入ってみよう。
旧校舎の扉を開けて、中に入る。
すると、
「殿中にござる!!殿中にござる!!」
「いいぞー!やれやれー!!」
「ゲヘヘ、良いでは無いか良いでは無いか」
「アーレー」
という声が聞こえてきた。
全員、男の声である。
「……そういえば、聞いてなかったけど。
ここ、なんの同好会なの??」
オーレリアが真顔できいてくる。
「お茶菓子研究会、って聞いてるけど」
昨日とは雰囲気がまるで違う。
いったい、部屋の中でなにが行われてるんだ?
「なんか楽しそうだねー。
おじゃましまーす!」
フィーがそう声をかけ、お茶菓子研究会が活動をしているであろう教室へむかう。
「あ、ちょ、フィー!」
それをオーレリアが慌てて追いかける。
二人は、声の聞こえてくる教室のドアをあけた。
そして、固まった。
「どうしたんだ?」
俺が二人の後ろから、教室の中をのぞく。
そこには、ゴツイ体つきの上級生が女装をして遊んでいたのだろう光景が広がっていた。
上級生たちが、フィーとオーレリアを見て固まっている。
しかし、次の瞬間には野太い悲鳴が、上級生たちから上がった。
「ぎゃぁぁぁあ!!??」
「見られたァァア!!??」
「閉めて、ドア閉めて!!」
上級生の一人が真っ赤になりながら、こちらにやってきてドアをぴしゃっと閉めた。
バタバタと中から騒がしい声が響いてくる。
「アイエエエ!!??
ナンデ?!見学者ナンデ?!」
「こんなとこにわざわざ見学来るやつなんていないと思ってたのに!!」
「えーん、恥ずかしいとこ見られたぁ」
そんな声に混じって、聞き覚えのある声が混じる。
「だから言ったじゃん。来るかもって。
そもそも部活勧誘サボってうちに来てんじゃないよ」
お菓子先輩の声だ。
「だってだって、ここなら家庭部のお菓子食べられるじゃん!」
「そうだ!そうだ!!」
「俺たちに1年生の接待なんて出来るわけないだろ!!!」
「「そうだ!そうだ!!」」
お菓子先輩の呆れた声が届く。
「あのなぁ。
今の1年生たち、それ全部聴こえてるぞ??
そもそも、おまえらお茶菓子研究会にはいってないだろうが。
このお菓子は、お茶菓子研究会のメンバーと見学に来てくれた子用なんだよ」
それからややあって、ゴツイ上級生たちが普通の制服姿で、教室から出てきた。
とても気まずそうに、出てきた。
そして、俺たちに軽く頭を下げ、旧校舎を出ていった。
「騒がしくてごめんな。
どうぞ、いらっしゃい。
って、また来てくれたんだ」
フィーとオーレリア、そして俺の順に顔を見つつお菓子先輩はそう言ってきた。
「えぇ、お菓子美味しかったので」
俺はお菓子先輩へそう言った。
お菓子先輩はニコニコと笑顔を浮かべて、
「今日は友達も連れてきてくれたんだね。
ありがとう」
なんて嬉しそうに言ってくる。
お菓子先輩は、俺たちにソファを勧める。
俺たちが座るのを待って、
「紅茶、珈琲、炭酸ジュースあるけどどれがいい?」
そう聞かれた。
俺は即答した。
「炭酸ジュースで」
フィーとオーレリアは、戸惑っていた。
「そちらのお二人さんは?」
促され、フィーが答えた。
「紅茶でお願いします」
それにオーレリアが続く。
「あ、私もそれで」
お菓子先輩がニコニコと笑顔のまま答える。
「オーケーオーケー」
そうして、飲み物と茶菓子が振る舞われた。
手作りのものから、昨日お菓子先輩が言っていたように市販のジャンクな菓子まである。
それらがテーブルにズラリと並べられた。
「さぁ、どうぞ。
好きに食べてよ」
言いつつ、お菓子先輩は教室の隅に立てかけてあったパイプ椅子を持ってきて座った。
「あの、さっきの人たちは同好会のメンバーじゃないんですか??」
オーレリアが紅茶を一口含んで、喉を潤してから聞いた。
「違う違う。
ここは、同好会メンバー以外もよく来て、たむろする場所だから。
アッちゃんもよく来るよ」
「アッちゃん??」
「アーネスト君、生徒会長の」
爽やかイケメンの顔が思い浮かんだ。
聞けば、この人はアーネストさんと幼なじみらしい。
「……いいんですか、それ?」
「なにもずっと集中なんて続かないもんでしょ。
だから息抜きに来るんだよ。
アッちゃんもねぇ、あぁ見えて結構、気を張ってるから。
さっきのアイツらは、まぁ、バカ騒ぎしに来ただけだけどね」
そこで、ケーキを美味しそうに食べながらフィーが質問した。
「ところで、先輩。
先輩の名前ってなんて言うんですか??
私はフィオナ・スノードロップっていいます。
皆からはフィーって呼ばれてます」
フィーがそう自己紹介した。
すると、お菓子先輩がフィーを見て、不思議そうな顔をする。
「あれ、まだ名乗ってなかったっけ?」
次に、お菓子先輩が俺を見てきた。
俺は頷いて見せた。
「これは失敬。
ディーン・ヴェルドだよ」
寮を移ってきたときも、とくに紹介などされなかった。
昨日、あの後も名前を聞く機会がなかった。
なるほど、ディーンさんか。
「ここでお茶菓子研究会の活動をしてる。
授業や委員会、そして部活、人間関係その他諸々で疲れた時はここに来て休んでいいからね。」
ディーンさんはそう言って微笑んだ。
「で、一応、残りの二人の名前も聞いておこうかな」
俺はいまさらだなぁ、と思いながらも名乗った。
オーレリアがそれに続く。
「カキタとオーレリアね。
よし、覚えた」
ディーンさんがそう言った直後、教室のドアが開いた。
入ってきたのは、見知らぬ女子生徒、それも上級生である。
「賑やかだとはおもったけど、見学者とは珍しい」
「おや、千里眼殿じゃないか」
現れた上級生に、ディーンさんが返す。
千里眼??
「彼女はなんでも見通す目を持ってるんだ。
と言っても、魔眼持ちってわけじゃない」
「はぁ」
俺は曖昧に言って、千里眼さんを見た。
千里眼さんは、俺たちに対してニコッと微笑むと、
「あぁ、チームメイトが大怪我をしたとか。
災難だったね。
それも、結界に閉じ込められた上に中、高位のモンスターに取り囲まれたとか。
……ふぅん??
そっちの銀髪の女の子じゃなくて、君が処置をした、と。
で、そっちの赤髪の子は、なるほどなるほど?
なかなか厄介なクラスメイトたちだ。
姉妹制度を利用してるんだろう?
君のお姉様にちゃんと相談した方がいい。
もしくは、別に相談員がいることは知ってるかな?
相談員に話を聞いてもらうのも手だ。
とにかく、一人で抱え込まないこと。
ろくな事にならないからね」
俺たちは目を丸くして、千里眼殿と呼ばれた先輩を見た。
「驚いてる驚いてる」
ディーンさんが楽しそうだ。
「すっごーい!
え、魔眼持ちじゃないのになんでわかったんですか??」
フィーは素直に驚いている。
「おや、なかなか好意的な反応。
うれしいね。
なに、種明かしをすると簡単なことだよ」
ね?
と、千里眼先輩がディーンさんを見た。
ディーンさんが、千里眼先輩について説明する。
「彼女はね、【探偵部】の部長なんだ」
「「「探偵」」」
俺たちは同時に、【探偵】という単語を繰り返した。
「そ、【探偵部】のOB、OGは、九割は捜査局に就職している。
また、捜査局からお仕事の手伝いとして、事件解決に協力しているんだ」
「あー、お手伝いって言い方はやめてほしいな。
一応、ちゃんとお金ももらってるインターンなんだけど」
「なんにも種明かしになってないかと」
「手厳しいなぁ。
探偵部にはね、学園内のことならなんでも情報が入ってくる。
なんなら先生方から、君たち、カキタとフィーが巻き込まれたトラブルのことだって、ね?
まぁ、部外者がいたなら話さないけど、ここには当事者が揃ってるから」
よくもまぁ、ここまでスラスラ、ぺらぺらと滑らかに言葉が出てくるものだ。
俺だったら、絶対舌を噛んでる
そこでディーンさんが千里眼さんにツッコム。
「トラブルに関しては、おれは今初めて耳にしたんだけど」
言外に部外者である、と言いたいようだ。
「まぁまぁ、いいじゃないか。
君は下手したら学園屈指の情報通でもあるだろ。
探偵部なんかより、先に情報を手に入れることができる。
今回は、探偵部の方が早かったけどね。
まぁ、言ってしまえば事前に君たちの話を知っていたってだけだ。
ね?
なにも不思議なことじゃない」
自信満々に千里眼さんが言うと、フィーがなにやら考えつつたずねた。
「じゃあ、今日、私たちを結界のなかに閉じ込めた人たちのことも知ってたりするんですか??」
千里眼さんは首を横に振った。
「いいや。
それを知るには情報が少なすぎる。
まぁ、君らを取り巻いてる環境から、【考察】という名の妄想を語るのは簡単だけど。
けれど、それは冤罪を招きかねない。
そんなことは、避けたいからね」
俺たち3人は顔を見合わせた。
そんな俺たちをみて、クスクス笑いながら千里眼さんは言ってくる。
「探偵は罪を暴く者だ。
断罪者でもなければ裁判官でもない。
君たちも、くれぐれも悪いことはしないように。
後輩の秘密を暴くなんて、出来ることならしたくないしね」
そこからは、当たり障りのない雑談となった。
千里眼先輩も、教室の隅からパイプ椅子を持ってきて座った。
「…………」
雑談に参加せず、ただ黙々とジュースを飲む。
それに気づいたディーンさんが、話しかけてきた。
「昨日の食べっぷりはどうした?
遠慮せず食っていいんだぞ?」
「あ、いや、その」
「なんだ?」
「このお菓子、持って帰ってもいいですか??」
「構わないが。
確か、カキタは実家からもお菓子をおくってもらってるんじゃなかったか?」
寮生にでも聞いたのだろう。
ディーン先輩はそう言ってきた。
「えぇ、まぁ。
ただ、さっき話に出てた大怪我した友達にも食べさせてやりたいなっておもって。
家庭部のビュッフェ行くんだーって、楽しみにしてたのにあんなことになっちゃったから」
手足があらぬ方向にねじ曲がって、死んでいたライリーの姿をおもいだす。
あそこまでのことをする必要なんてなかった。
彼の行動を否定したいわけじゃない。
もっと落ち着いて、いろいろ脱出する方法を模索すれば良かったと後悔してしまう。
「なるほど。
いいよ。
どうせ食べきれないのは、仲間に食わせる予定だったから」
そう言って、ディーンさんは持ち帰り用の紙袋や箱を用意してくれた。
どうやら、備品として置いてあるらしい。
そんなやりとりをする、俺たちの横でフィーが千里眼さんへ聞いた。
「そういえば、千里眼先輩の名前って?」
「ん?
あぁ、名乗っていなかったな。
ミリアーヌ・フェンだ、よろしく。
友人知人、家族からはミリアと呼ばれてる」
なるほど、ミリアさんか。
俺は紙袋にクッキーをこれでもかと詰め込み、箱の方にもシュークリームをギチギチに入れる。
それから、別の箱にケーキを入れた。
「ありがとうございます」
※※※
「それがこの菓子の山ってわけか」
寮の部屋で、すっかり回復したライリーがずらりと並べた菓子を見ながら言った。
あのあと、見学を終えて、保健室へライリーを迎えに行った。
すると、家庭部見学へ行けなかったことをライリーは相当に悔やんでいた。
ところが、手土産があるとわかるとその様子は一変した。
ずーっと、ソワソワとしていたのだ。
お茶をいれてやり、労う。
「お前のおかげで助かった、ありがとな」
「ん、あぁ、気にすんな。
俺が勝手にやったことだし。
ともかく脱出はできたわけだしな」
そう言って、ライリーは菓子を貪りはじめた。
食べながら、
「……今言うタイミングじゃないけどさ」
と、ライリーは言ってきた。
「なんであんなことになったと思う?」
「……さあ?
俺は魔法に詳しくないから、わからない」
「……あの時は、テンパってたし、フィーもいたから言わなかったけど」
ライリーはシュークリームへ手を伸ばす。
それを口の中にいれて、もごもごと咀嚼し、ごっくんと飲み込むと続けた。
「あの授業に出てた誰かが仕組んだとしか思えない」
本当は聞きたくなかったし、こんな話をしたくはない。
ライリーもそれは同じだろう。
けど、話さずにはいられなかったのだと思う。
「で、俺は、怪しいヤツに心当たりがある。」
ライリーは、俺を真っ直ぐみる。
菓子に手は伸ばさない。
真面目くさった表情で続ける。
「それは、お前も同じだろ?」
「まぁ、うん」
俺はクッキーに手を伸ばした。
姉ではなく、他者が作った菓子を口に放り込んでたべる。
紅茶で喉を潤してから、
「本当はそんな目で見たくないし、疑いたくない。
犯人扱いしたくない。
でも、一番怪しいと思ってる人、いや、人たちはいるよ」
一呼吸おいて、俺はさらに言葉をつづけた。
「ルギィさん達だ」
「だよなー」
やはりライリーも同じ見解だった。
「ライリーはさ、その魔眼で誰が結界を張ったかとまか、全部みえてたのか?」
「……ちがう」
ライリーは、今度はケーキに手を伸ばした。
皿を持ってこようとしたけど、構わずそれにかぶりつく。
とても行儀の悪い食べ方だ。
バクバクと食べてから、ライリーはこう言った。
「その前、ルギィたちに取り囲まれただろ?」
「あー、うん」
「あの時に、ルギィやその取り巻きたちがもってた魔法杖や魔石を見てたから」
「どういうことだ?」
「結界魔法や召喚魔法に特化した魔法道具ばかりだったんだよ。
お前は魔法に詳しくないし、フィーも杖や魔石の種類まで見ただけじゃわからなかったみたいだけど。
魔眼なんか使わなくても、わかるやつにはわかるんだ。
デザインとか、魔石の色とかそういうので、どんな魔法が使えるのかとかが」
へぇ、そうなんだ。
全く知らない世界の話なので、なるほどなぁ。
「だから、モンスターに取り囲まれて、さらに結界に閉じ込められたってわかったときに、アイツらの顔が浮かんだ」
ライリーは、もう一つ、別のケーキを手づかみで食べ始める。
やけ食いだということに、この時ようやく気づいた。
ガツガツと肉の塊でも食べるかのように、平らげる。
そしてゴクゴクと、それこそ大人がアルコールをジョッキで飲み干すかのごとく、紅茶を豪快に流し込むと、
「いくらこっちのことが気に入らないからって、ふつう、ここまでするか?!
攻撃魔法で誰かに危害を加えるようなことしちゃダメって、どの国でも保育園や幼稚園で教わることだろ!?
そりゃ、ケースバイケースで例外くらいあるのは知ってる。
でも、俺たちはその例外の犯罪者でもなんでもないんだぞ?!
少なく、この学園の生徒になったのなら、魔法は誰かを助けたり救うために使うもんだろうが!!」
そう叫ぶように言った。
あまりうるさくすると、監督生が来そうだ。
「まぁまぁ、落ち着けよ」
「落ち着いていられるか!!
結果的に助かったから良かったとは思う!
でもな?!」
ん?
「でも??」
なにか他にも問題があったのだろうか??
「カキタ、お前やフィーは気づいてなかったことがもう一つある」
「なんだ、それ??」
俺はお茶のおかわりを、カップに注ぎながら聞き返した。
「なんで、俺があそこであんな無茶したかわかるか??」
「え、俺たちを助けてくれるためだろ?」
「それもある」
それも、ということは、他にもライリーが無茶をした理由があるのだ。
「あの時点で結界内には特殊な召喚魔法術式が施されていたんだ。
あのままあそこで素直に助けが来るのを待っていたら、第二陣、第三陣のモンスターの群れと戦うことになっていたんだよ」
マジか。
「だから、確実に外に出られる方法をとった。
付与魔法で、お前の攻撃力諸々あげて結界をぶっ壊すこともできたかもしれない。
でも、あやしかったんだ。
確実に結界を壊す必要があった。
そのあとのことも諸々考えた時、俺が出張るしかないって答えになった」
「あとのこと?」
「結界を壊して脱出できたとしても、モンスターの群れが出てきた時にフィーを連れて、確実に逃げられるのは、お前だった。
俺だと、身体能力を上げたところで限界がある。
より、生き延びる率が高い方を選んだんだ」
「なるほどなるほど。
まぁ、おかげでなんとかなったわけだ」
しかし、それは過去のことだ。
もう、起きてしまったことである。
「そう、なんとかなっちまった。
問題はこれからだ」
ライリーが、苦しそうに言葉を吐き出す。
「お前も気づいてるだろ?カキタ?
フィーもターゲットになっちまったってことに」
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