第3話 「その知には及ぶべし。その愚には及ぶべからず。」

明治大学による「蛮カラ」の復活

   

  蛮カラ(《ハイカラをもじって対応させた語》風采・言動の粗野なこと。夏目漱石、彼岸過迄「上はハイカラでも下は蛮殻(ばんから)なんだから」。「―な校風」広辞苑)といって、単に粗野である・荒々しいということではありません。


弊衣破帽(ぼろの衣服に破れた帽子。特に、旧制高等学校生徒の間に流行した蛮カラな風)姿で、ゲーテの詩やカント・デカルト・ショーペンハウアーといった哲学者の言葉を大きな声で唱えながら、天下の大道を闊歩した高校生たち。

彼ら東大・東北大・京大等の前身である旧制高校の生徒たちによる、権力や権威によるお仕着せのスタイル・権威に素直に従うという家畜のような生き方への反抗がベースになった、心意気です(決して革命とかいう破壊の精神ではありません。)。

  カントの「純粋理性批判」に代表される、物事を批判的哲学で追求しようという真理探究心・科学的精神のことです。

研究室で学術書を読み、試験管を振って真理を見出すのも良いが、頭だけではなく、強力な理性と豊かな感性が伴わなければ、本当の真理は発見できないだろう、という考え方。

それをを示すために、わざと汚い格好をし、大声で歌を歌ったりして訴えたのが「蛮カラ学生たち」だったのです。


続く


2024年12月2日

V.1.1

平栗雅人

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