私の世界はあなただけ。

桜の一夜

私の世界はあなただけ。

「みっちゃん!今日はどこ行くー?」

「そうだねー。クレープ屋さん行きたいな!」

「いいね!僕甘いもの大好き!」


今日もりっくんの笑顔は可愛くて、ふわふわしている。そんな姿を見るだけで頬が緩む。


私は近藤 美月(こんどう みつき)。特筆するべきところは無い至って普通の女子高校生。隣でふわふわしたオーラを放ってるのは、高橋 律(たかはし りつ)。昔の記憶はあまり無いが、彼は昔からこんな感じでふわふわしてる穏やかな子だった。そのため人気者。でも、こんな雰囲気なのに基本的にはなんでもやってしまう。

昔から仲良いので、あだ名で呼んでいる。


「うーん!美味しい!」


「美味しいね!」


2人でクレープを買って頬張っている。甘いもの最高!そんなことを思っていると、


「お姉さん、落としましたよ。」


「あ!ありがとうございます!」


落としたことに気づかずにいたら拾ってくれた。


「あれ?もしかして美月ちゃん?」


渡してもらったものを取ろうとすると、身に覚えのない男の人に名前を呼ばれる。

私が分からなくて戸惑っていると、


「颯太だよ!小学校のとき同級生だった!」


「あ!あー!颯太君!」


名前を言われて思い出した。よく見れば面影があるような気がする。


「忘れてた?まあ、結構昔だよね!」


「ごめんごめん!昔の記憶ほとんど無くてさ!」


顔は見たことあるけど、

何の話した、とか、

どんな感じだったか、とか、

全然思い出せない。


「それって「みっちゃん!こぼれてるよ!」」


重要な事を話しそうな感じだったが、りっちゃんが遮った。本当は颯太君の話を聞きたかったが私は大惨事になっていた。


「あ!ありがとう!」


「ううん!これで拭いて!

あとさ、そろそろ帰らないとお母さん達が待ってるって連絡来たよ!」


本当にりっちゃんはパーフェクトだな。


「ごめんけど、帰るね!」


「ううん!大丈夫!連絡先は、」


颯太君が連絡先交換したそうにしていたので私もスマホを取り出そうとすると、


「みっちゃん、さっき携帯の充電切れたでしょ?」


「あ!」


忘れてた!ならどうしよう。私が連絡先を書く紙を探していると、


「僕が連絡先交換して、あとで繋げるのはどう?」


「ナイスアイデア!そうしよ!」


颯太君は少し曇った顔をしていたがそれが一番早いよね!と思ってりっちゃんにお願いする。


「これでOK!じゃあ、みっちゃん行こう!」


りっちゃんはどこか急いでるように私の手を掴んで歩き出す。


「颯太君!またね!」


手を振ったが颯太君の笑顔は少し怖かった。



side律

あ!颯太君!」


律はテンション高く近寄った。


「こんにちは。ねえ、美月ちゃんに連絡先繋げてくれるんじゃなかったの?」


「あ!ごめんね!忘れてた!今日帰ったらするね!」


「大丈夫。ねえ、連絡先交換したら俺告白してもいい?

って、君に許可はいらないか。」


「うん?でも、みっちゃん恋に興味無いみたいだよ?」


「そろそろ本性表したら?俺知ってるから。美月ちゃんは覚えてなかったけど、

君、元々腹黒い策士だよね?」


「なんのこと?」


律は不思議そうに首を傾げる。それを見た颯太は早く言えよという顔をする。


「美月ちゃんが俺のこと、覚えてないのもどうせ、君が洗脳したんでしょ?」


律はため息をついて髪をかきあげた。


「そうだったら何?お前はみっちゃんの世界に必要ない。それに付き合うのもずっとそばに居るのも俺だから。

悪いけどもうみっちゃんはお前のこと好きじゃないから。あと、もしみっちゃんにバラしたら」


律は颯太の耳元で囁く。それを聞いた颯太は顔が青ざめる。


「な、なんでそれを……!」


「じゃあ、僕、もう帰らなきゃ!またね!」


律は表情を切り替え去っていった。



side美月

「りっちゃん、そういえば、颯太君の連絡先は?」


「なんかね!もういいんだって!」


なんで、と聞こうとしたが貼り付けたような笑みにゾッとして口を閉じる。


「大丈夫だよ!あの子のこと、みっちゃんも覚えてないでしょ?それにあの子はみっちゃんに性格があってないと思うよ!

大丈夫!

みっちゃんのことは僕が守るから。だから、」


りっちゃんは私のことをいつも通り抱きしめてりっちゃんの手で私の目を隠す。


「安心して。」


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私の世界はあなただけ。 桜の一夜 @sakura_itiyo

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