第6話

「エディン様、もうこれ以上あなた様の行いを見過ごすことはできないのです。お許しください」

「ま、まてノドレー!!!!お前の事を転属させる話はすべてなくなったではないか!!だというのにどうして僕に歯向かうんだ!!意味が分からない!!」

「はぁ…。どうやら、第一王子様には私の抱いている思いをかけらも理解してくださっていないようですね…」

「な、なに…???」


ノドレーの行動原理は自分自身が冷遇されたからではなく、自分が愛するエミリアの事を冷遇したためである。

にもかかわらず、この期に及んでその事を理解しようともしないエディンの事を、彼が許す気になるはずもなかった。


「もうすぐこの王宮は騎士に囲まれ、政治的に解体されることとなるでしょう」

「まて、そんな権限を騎士は持ち合わせていないだろう!!いい加減なことを言うんじゃないぞ!!」

「それができるんですよ。今回の我々の計画には、王宮にかかわるすべての貴族家の方々が賛同してくださいました。貴族家には王宮に意見できる権利がありますから、それを合わせてエディン様の事をここから追放する決議がとられたというわけです。私はあなたのことを裁きに来たわけではありません、その事実をお伝えに来ただけです」

「そ、そんな…ことが…」


分かりやすくその場に膝から崩れ落ちるエディン。

するとそんな彼の後ろから、もう一人の主役ともいえる人物が姿を現した。


「ノドレー様!!私はずっとお兄様によって利用されていただけなのです!!私はお姉様の事をずっとずっと心配していたのです!!どうか私だけでも助けてはいただけませんか!私このまま裁きの時を待つだけだなんて納得ができません!!」


大きな声を上げながらそう泣きつくのは、エディンの妹であるユリアだった。

…その言葉がどこまで本当のなのかは本人にしかわからないが、それでもその大部分が偽りのものであろうことはすぐに理解することができた。


「ユリア様、あなたに対しても同じ罪状が作成されています。エディン様と一緒に来ていただきましょうか」

「!?!?!?」


…その時のユリアの表情は、それはそれは興味深いものだった。

これまで自分のやってきた行いがすべてそっくりそのまま自分のもとに帰ってくることとなり、さらにはその事を自分の最愛の人物から告げられることとなったのだから。

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