5. 一重信仰

 例えば、三つには……




——ここは、目が大きいよりも、小さい方がいい、世界。




 〈目の大きい人〉が、〈目の小さい人〉を眺めて……


「いいなぁ、あの子。あんな目が小さくって。私も、ああなりたい」


 と、うらやましがる。


「目頭手術、しようかなぁ。でも、高いしなぁ……ああ! 目が痛い! 決めた、手術申し込んじゃおっと!」


 〈目の大きい人〉は、そのの根元の肌をキュッと指でつまんで、無理やり目を細めた。


 実は、この世界では、目を小さくする整形手術が、一般的になっている。


 というのも……


 この世界には、大量の宇宙が降り注いでいる。それは、目に非常に有害である。目を開いた時、〈目の大きい人〉は、多く宇宙線の影響を受けてしまう。そうして、成人するよりも前に、失明することも多い。〈目の小さい人〉は、ほとんど影響を受けない。


 また、宇宙線増加の二次被害として、皆、目を小さく、小さくしようとするあまり、目つきの悪い者が増えたので、「メンチ切ったにらみつけた」ことを理由に、町中では度々揉み合いが起こるようになった。

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