第18話 首領が死んだ日
太宰さんに言われて、自分の部屋で座って待っていると窓の外に、微笑みながら落ちて行く太宰さんが見えた。
「……え?」
下が騒がしくなって、少し経っても全く理解できなかった。
太宰さん…… え?、え、な、なんで太宰さんが窓の外に……
「な、何かのドッキリ? や、やめてよ~そういうの。心臓に悪いからさー、」
だけど、いつまで経ってもドッキリでしたー、とかはない。
ビルがどんどん騒がしくなる。
え……うそ、だよね? 太宰さんが死ぬはずないもんね
だけど私は、だんだん不安になってきて、外へ出た。
…‥そこには……
太宰さんの死体があった。
「だ、太宰さん?」
やっと理解した。いや、ホントは理解していた けど、理解したくなかったんだ。
「ああああああああああああああああああ!」
私はもう冷たくなっている太宰さんに抱きつく。
私の真っ白な服が真紅に染められていく。それが、太宰さんの死を裏付けるようで……
「いやだっ! いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ……っ!」
「美玲ちゃん… 首領から離れましょう」
そう言って樋口は私を太宰さんから引き剥がそうとする。
私は負けじと抵抗していると他の構成員も加わって、私と太宰さんは引き離された。
そのまま太宰さんは、ビル内に運ばれる。
「やだ…! 待って、太宰さん! ……っ!
離して樋口!」
「美玲ちゃん、落ち着いてください」
「……っ」
背中を一定のリズムで優しく叩かれ、だんだんと落ち着いてくる。
「なんで? なんで太宰さんは私を置いて死んじゃったのっ?
私がっ!いい子にしてなかったから?
ごめんなさい!いい子にするからっ… だから…っ!」
「美玲ちゃん……」
「うわああああああ……!あああああああ…!」
樋口は一言も発さずに、私をあやしてくれた。
私は泣き疲れたのか、その腕の中で眠ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます