第8話 犯人の正体

「ありがとうございました。それでは手がかりが見つかり次第、報告します。

 失礼いたしまし…」

僕が帰ろうと玄関のほうへ向かおうとしてー、

目の前には床があった。

……床? なぜだ? 僕は倒れたのか?

……っ……ナオミに電話を……っ

電話をかけようとしてもなぜか、身体に力が入らない…

これは本格的にヤバそうだ。だんたんと意識が朦朧としてくる。

だから、気づかなかった。

美玲ちゃんたちが居ないことに…

「お前っ…、何をした」

「ごめんなさい。娘のために必要なの」

「娘の……ため……?」

ヤバイ、もう限界だ。僕はごめんなさいという依頼人の言葉を最後に意識を失った。

いや、失いかけた。

失いかけた、というのは気絶する直前に何かの液体か口に流れ込んできたからだ。

「ウッゴホッゴホッゲホッ」

「あ、お兄様!気がつきました?」

「ナオ…ミ?これってどういう状…ぅッまっず」

意識がはっきりしてくると同時に感覚も戻っていって……

口の中に入れられた薬は、ものすごく不味かったし、苦かった。

「もう~、子供じゃないんだからそれぐらい我慢してよー」

子供が言うセリフじゃないとツッコミたいのを抑えて、質問する。

今はツッコミをする気力はない。

「ナオミはどこに行ってたの?」

「美玲さんに言われて与謝野先生のところに薬を取りに戻っていたのですわ」

「そっか、ありがとう。あとさ、」

僕は続きをしゃべろうとして、声が出なかった。僕は、そのままナオミもたれ掛かるようにして眠った。

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