第7話 依頼人
依頼主の家は意外と近かった。……これなら歩いても間に合いそうだな…
僕は走るのをやめて、事件の説明をしようと美玲ちゃんに喋りかけた。
「それで、歩きながら事件の詳細説明してもいい?」
「うん! あ、でもわたしにはさっぱりだと思うから、イヴとあいはに説明してほしいな」
「イヴとあいは?」
「わたしの異能力だって太宰さんが言ってた!なんか、ぬいぐるみに命を宿す能力……?らしい」
「命を吹き込むとどんな感じになるのかしら?」
「えっとねー、言うより見せる方が早いね!」
そして彼女がイヴ、
「谷崎さん?」
「え、ああ、ごめんね。この二人に事件の詳細を話せばいいんだね?」
「うん!」
そして、イヴたちに事件の説明をしているうちに依頼主の家に着いた。そこはとても大きな屋敷だった。
「ここ、みたいだね」
「とても大きなお屋敷ですわね…」
そして僕たちが屋敷の門の前に立つと、門が開き中から女性が出てきた。
「あなたが依頼主の桜さんですか?」
「はい、探偵社の方ですね。どうぞ、お上がりください」
そして僕たちは大きくなぜか不気味に感じる屋敷へ足を踏み入れた。
「このような場所までご足労いただき、申し訳ございません。本来なら私が出向くべきでしょうに…」
「あ、いえ、お構いなく」
「お嬢さんもこんなに暑い中来てくれてありがとうね」
「うん!」
ありがとうと言われて嬉しいのか、美玲ちゃんが満面の笑みで返事をすると、くぅぅぅーと真横からお腹が鳴る音がした。
「美玲ちゃん?、お腹すいたの?」
「う、うん。 朝ご飯食べてなくて…」
言ってくれたらカフェにでも寄るのに……
「あらあら、お腹すいたの?、何か食べる?」
彼女は自分の娘に向けるような、なにか微笑ましいものでも見るような眼で見ていた。そういえば失踪した娘さんは十一歳だったな…同い年ぐらいの美玲ちゃんと娘さんを重ねているのか
「食べたい!」
お腹が空いてたらしい美玲ちゃんが眼を輝かせて食いつく。
「こ、こら、…すみません…」
「いいのですよ。私も朝ご飯がまただったので。
皆さんはどうされますか? なにか冷たい飲み物をお持ちいたしましょうか?」
すると暑くて喉も渇いていたらしい美玲ちゃんが一番に返事した。
「わたし、オレンジジュース!」
キミ、さっき朝ご飯注文してたよね。ジュースも頼むの?
だけど依頼主はそんなこと気にしてないようで、
「分かりました 他の方は?」
「私はアイスティーがいいわ」
「…私も」
ふ、二人も飲むの!?
ぬいぐるみ…というかほぼ人間だけど飲めるんだ……
「お二人は?」
「え、じゃあ僕は…… み、水で」
「私はカフェオレでお願いしますわ」
「承知いたしました 少々お待ちください」
そして女の人が出ていくと、綺衣羽が何か美玲ちゃんに耳打ちしていた。
それを聞いた美玲ちゃんは少し驚いたような悲しいような顔をして、イヴに何かを命令した後に色々調べ始めた。
少しすると何か分かったらしい美玲ちゃんがナオミに耳打ちして、それを聞いたナオミは吃驚した顔をして大慌てで家を出て行った。
………どうしたんだろう………?
五分ほどすると、依頼人がお盆を持って戻ってきた。美玲ちゃんは食べることに集中していたが、僕たちは用意された飲み物をそれぞれ飲みながら、依頼人の話を聞くことにした。
「それで、あなたの娘さんが行方不明になったと言う話ですがー、」
「はい、そうなんです 一週間ぐらい前から居なくて………
警察にも届を出しましたけど、6日経っても手がかりがなかったもので……」
「なるほど では、まずーーー」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます