第6話
… …
それから、時は流れて、ボクは、県外の美術工芸高専に進学して、どうにか環境にもなじんで、最初の夏休みを迎えた。
酷暑日が三日続いた、文月の下旬の日に、一通の封書がボク宛に届いた。
手渡してくれた寮母さんは、ついでに畑で出来たというスイカの四つ切をくれた。
…時候のあいさつ以外に、最近は私的な郵便物を、受け取ることはめったにない。…
「なんやろ?」ボクはいぶかしんだ。
見ると、差出人は無くて、開いてみると、ナント!懐かしい「あのひと」からの、”プラベートすぎる”ような、いやむしろ、びっくり仰天するような?内容の書簡だったのだ。
「…江富くん、もう新しい学校でばりばり勉強してる?実はね、こんなことを打ち明けるのは本当に恥ずかしくて、もう直接会ったら真っ赤になっちゃいそうだから、まずお便りしました。
私ね、生理がしばらくなくて、吐き気がしたりもするから、婦人科受診したのよ。そしたら…」
あにはからんや?おめでたで、4か月だという。で、身ごもったのは初めてで、できたら産みたいんだという。
「私生児になってもしょうがないです。私は、仕事してるから、シングルマザーもできます。だけど、できたら、江富くんのお嫁さんになりたいの。あの時にね、喘いでいる江富くんの顔があんまりにも可愛くて、それからこっそり自慰にふけってました…あの時のことを思い出しながら…」
ボクは、眼を疑い、それから全身が、
いったいどうなるかはわからないが?ボクはすぐ応諾の電報を学校付けに打ち、愛しい先生のもとに駆けつけた。
…再会したボクたちは、映画か何かのように、派手に抱擁しあった!
先生は相変わらずビーナスのように美しく、そうしてボッテイッチェリの絵のように恥じらっているのが素敵すぎた。
お互いに、密着しあった胸の中で「もう二度と離すもんか!」と、大声で叫びあっていた。
お互いの気持ちはもう、言葉で確かめるまでもなかったのだ。
だって、ボクのほうもいつも、あの日以来、先生の面影を求めつつ毎晩ひたすらオナニーをしていたのだから…
<Fin >
自主企画参加用書下ろし:短編「Fくんの筆おろし」 夢美瑠瑠 @joeyasushi
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