第4話 一人暮らし教科書
ザリザリ……ザリザリ………ザリザリ……ペシッ!ペシッ!
「……う〜うん……起きる、今……起きるよ」
「にゃー!にゃ!」
子猫って早起きなんだね……知らなかったよ。僕はもう少し寝ていたかったけど、これ以上寝ていたらほっぺがひと皮剥けそうだ。
それに今朝は前足でペシペシと叩かれた。
まあ、爪を出さずに肉球でペシペシされただけだけど、そのまま寝ていたら制裁が下りそうな気がした。………ご飯は大事だもんね。
子猫の要求通り朝ご飯を作って、一緒に食べた。僕は棚に置いてあったパンにバターを塗って食べた。固かったけど美味しいパンだった。
あと、不思議なことに、昨日食べたお肉と牛乳の量が元に戻ってた。
さっき食べたパンも復活するかな?そうだと良いな……。僕、ごはん買うお金を持ってないから。
その後は食器を洗って図書室に向かう。
昨日は時間が無くて見れなかったけど、テーブルに置いてあったあの本……僕が大事にしていた『一人暮らし教科書』じゃないかな?
子猫はお腹がいっぱいになったら眠くなったみたいで、既にフードの中で丸まっている。こういうのを本能に忠実って言うのかな?それともマイペース?
椅子に腰掛けテーブルに置かれた本を見る。その表紙には『一人暮らし教科書(異世界版)』と書かれていた。
「………異世界?異なる世界ってどこの事?」
ちょっと意味が分からなかったけど、僕が持ってた本と同じっぽい。開いて目次を見ると、何度も読んだ本に違いなかった。だけど、知らない項目が増えている。
【異世界を知ろう】、【ステータスを確認しよう】、【魔法を覚えよう】、【強くなるには】、【敷地の外は危険がいっぱい】……
「………魔法?空を飛べたりするのかな?それにステータスって、みんなが遊んでたゲームみたいだ………」
と、その時、僕の目の前にテレビの画面みたいな表示が現れた。びっくりしてキョロキョロしても画面がくっついて来る。
「……え???何これ………これがステータスなの?」
名前 ✕✕✕(未定)
年齢 10才
体力 15
魔力 23
耐久 9
知力 25
素早さ 11
魔法 未習得
従魔 ベイノス(未定)
「あ……僕の名前…………」
名前が……無くなって『未定』になってる。僕が好きに決めていいのかな?それに従魔ってなに?
とりあえずは僕の名前……あ!子猫にも名前付けて無いや!………そうだな……じゃあ、僕の名前は『ソラ』で子猫は『シド』にしよう。
ドレミファソラシド〜🎵だよ。
僕はお母さんが付けた、難しい漢字を使った変な名前も嫌いだったから変えられて良かった。これで『キラキラネーム』って言われないで済むよね!
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