第15話 テンプレ結構です
「待っていたわよん。」
早朝俺たちは
もちろん試験を受ける為なのであって、決して受付嬢?に会いに来たわけではない。
「そう言えば名前を伺って無かったですね。」
「私はアマリエよ。よろしくねん。」
ばちこんって聞こえてきそうなほどのウィンクで告げられても、どうにもできない。
むしろそれは殺傷能力を帯びているんじゃないかとさえ思えた。
「それじゃあアマリエさんよろしくお願いします。」
「「よろしくお願いします!!」」
俺の挨拶のあとに二人も元気よくアマリエさんに挨拶をしていた。
なんとなく引率の先生みたいでちょっと面白かったのは内緒だ。
それからアマリエさんから細々とした注意事項や予定などを確認し、講義のある会議室に向かった。
会議室にはすでに30名近くの
年齢・性別・種族なんかもばらばらで、人族?の俺がむしろ浮いている感じだ。
俺たちは渡されたテキストをペラペラとめくりながら講義に備えた。
そのテキストに驚かされたが、きれいな紙でできており、製本もしっかりしたものだった。
確かに羊皮紙では高いだろうけど、こうもきれいな紙があることが不思議でならなかった。
製紙技術が発達しているってことなのか?
俺の勝手なイメージだと、建物的にも中世の世界観だと思っていた。
だが、この綺麗な紙があるということは、現代までも行かなくても近代史くらいの文明は確定かもしれないな。
この世界の文明も少し確認しないとだめだろうな。
「リリー。確認なんだが、この世界の文明レベルって現代日本に比べたらどうなんだ?」
「そうね、答えを言えば歪。進んでる文化もあれば進んでいない文化もあるわ。この紙なんかは進んでいる方だけど、戦争に関しては魔法がある為なんだけど、陸人の世界みたいにミサイルとかは無いわね。その代わり魔法科学が進化して誰でも簡単な魔法を使えたり、エネルギーを取り出せたりなんてのはあるわ。その辺はこの国ではあまり見かけないけど。どちらかと言えば剣と魔法の国って感じだもの。」
なるほどね。
その辺も慣れていくしかないってわけだ。
リリーとリルと雑談をしていると、徐々に人が増えてきていた。
開始時間まであと10分くらいだろうか。
今では会議室に50名ほど集まっている状況だった。
それぞれが準備された椅子に腰かけてその開始を待っている状態になっていた。
「参加人数50名!!内37名不合格!!」
突然の大声と共に会議室の扉が強く開け放たれた。
なかなか体格のいい、おそらく猫の獣人だとは思うが、引き締まった筋肉が印象的な女性が壇上へと姿を現した。
その真っ赤に燃え上がるような髪の毛を逆立てて、獰猛さをうかがわせる瞳で、全員を見つめる。
むしろ射殺す勢いに感じた。
そもそも、声をかける前に扉の前で息を潜めていたのが気になっていたが、なるほどそう言うことか。
「リリーとリルは気が付いていたんだろ?」
「無論だとも主。あれほど気配を消されては逆に怪しいのだから。」
リリーもうんうんと唸っていた。
おそらく不合格者はそう言うことなんだろうな。
次々に名前を読み上げられる不合格者。
何名かは納得がいかないと食って掛かっていったが、一歩踏み込んだ時点でそれが間違いだと思い知らされる。
鋭い視線が、その不合格者に殺気と共に浴びせられたようだ。
パクパクと鯉のように口を動かすと、食って掛かった者たちはその場にへたり込んでしまった。
うん、そこは気合で耐える場面だろうに……
最後の一人の名前が読み上げられた後で、その女性は誇らしげな笑みをたたえた。
「残った23名の諸君!!私はライザ!!この訓練の教官を務める!!今出ていった奴らは不合格ではあるが、最下級からの登録も可能だ。まあ、だいたいが腐って辞めていくがな。そして諸君らは下から3番目のランク……第3階級
会議室内がどよめいているけど、それが何を意味しているのかが俺には分からなかった。
つまりどういうことなんだ?
「説明を忘れてたわ。
なるほど、つまりさっきの奴らは最下級の第1階級からスタートで、ここにいる奴らは第3階級からのスタートになる可能性があるのか。
まあ、合格して初めて第3階級なんだろうけどね。
そこから始まった座学は、いわば常識の確認だった。
それと
それと一番意外だったのが、教官のライザが思いのほか博識だったってことだ。
見た目的に細かいことは気にしない!!みたいな感じだと思ったんだけど、座学の説明を何も水にスラスラと話して聞かせてくれたのだ。
人は見た目で判断したらだめだってことだよな。
「じゃあ、これで講義は終了だ!!次は実技試験を行う!!全員このまま訓練場まで移動する事!!」
長かった講義も終わり、次は実技試験。
ついに俺の実力が試されるということか。
むしろ手加減の方向にだけど。
何はともあれ、無事実技試験を乗り越えないとな。
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