第14話 テンプレ?を楽しもう
「えっと、登録を……」
「いいわよぉ~、ただすぐにってわけにはいかないわぁ~。まずは講義を受けてもらって、それから実技試験。最後に適性鑑定を受けてもらって問題無ければ仮登録よん。」
ばちこんって音がしそうなウィンクをするな!!
見た目がめっちゃ可愛いだけに、その声と動作が違和感過ぎる……
「まずは申請書に名前と年齢……あと得意武器とかを記入して頂戴。」
受付嬢?からすっと一枚の紙を渡された。
そこには氏名年齢と性別、後は得意武器なんかの記載欄もあった。
あとはその他備考みたいな感じで記入欄が設けられていた。
「あ、そうだ。すいません、この子も一緒に登録したいんですが良いですか?」
「いいわぁ~かわいい子も大歓迎よ!!それとそこの妖精ちゃんも一緒に登録しちゃう?身分証が無いと連れ去られても手が出せなくなっちゃうのよね。」
なるほど、そう言うことも考えておかなくては駄目だったのか。
確かにリルは一応フェンリルだけど、今は見た目銀髪美少女だからな。
連れ去られて奴隷落ちなんてこともあり得るってことか。
まあ、リルに勝てる奴がいればって但し書き付きだけどな。
リリーについても同じか。
なら一緒に登録した方がよさげだな。
俺は受付嬢?からリリーとリルの分の用紙をもらい記入していく。
だがここで問題が発生した。
リリーはペンが大きすぎて書けない。
リルについては言語そのものの問題が発生してしまった。
「主殿、これはどうしたらいいのだ?」
「陸人……これ重い……」
仕方がないな、俺が代筆すればいいだけだからな。
俺はリリーとリルに聞き取りをしながら内容を埋めていく。
名前については別に家名を名乗る必要もないとのことだったんで、全員名前のみを書いた。
得意武器については俺は特に無し、リルは格闘、リリーは魔法……ってことにしておこう。
特に嘘はついてない。
「これでいいですか?」
「ちょっと待ってね~。うん、不備はないわね。それじゃあ明日の朝に此処にきてちょうだい。講義を受けてもらうから。」
誰でも彼でも登録できなくしていることに好感を持てた。
悪人の身分証って使われ方をする心配もなさそうだな。
ただもう一つの問題をクリアしていなかった。
「そうだ、この辺で格安で泊れる宿を教えてもらいたいんだけど。」
「それなら向かいの施設を使うといいわ。はいこれ、これがあれば泊まれるはずだから。」
そう言って受付嬢?から3枚の木札を渡された。
受付嬢?の言葉を信じれば、宿泊券みたいなものだろうか。
とりあえず俺たちは受付嬢?に礼を言って、
それから向かいに立っていた建物へ移動する。
こちらはいたってシンプルな宿屋って言う感じの建物だった。
古さを感じるもののきちんと手入れが行き届いているのか、ボロさは無かった。
木のぬくもりと年季を感じさせる風合いが、また安心感を泊まるものに与えるのかもしれない。
扉を開けてすぐにカウンターのようなものがあり、おそらくここが受付なんだろうな。
きちんと〝御用の方はこのベルを鳴らしてください〟って書かれていたから。
俺は置いてあったハンドベルを鳴らす。
ガランガランという少しこもった音がするベルを数回振ると、可愛らし声がカウンターの奥にある扉の先から聞こえてきた。
かちゃりと扉があくと、一人の少女が姿を現した。
身長はおおよそ130cmくらいだろうか、リルより少しだけ身長が高いようだった。
赤色の長い癖髪を後ろで一つん時結わえていた。
「いらっしゃいなのです。誤用は何なんです?」
うんしょうんしょとカウンター下にあった踏み台に上る少女を見ていて、なんとなく和んでしまった。
「
俺はそう言い、受付嬢?から受け取って木札を少女に手渡した。
少女はそれを確認すると、交換に鍵を一つ後ろの棚から取り出して、カウンターの上に置いた。
「ではこちらが部屋の鍵なのです。2部屋用意出来ればよかったんですが……ごめんなさいなのです。」
申し訳なさそうに頭を下げた少女。
さすがにこれで文句を言ったら悪いだろうからな。
とりあえず、リリーとリルにベッドを使わせれば問題ないだろう。
「一応確認だが、二人部屋で良いんだよな?」
「はいなのです。ベッドが2つありますから問題はないのです!!」
いや、君が自信満々に問題ないって言っても、こっちとしては本当に問題なんだが……まぁ、この際贅沢は言ってられないだろうな。
半分あきらめの境地でカギを受け取ると、その部屋番号が書かれている部屋に向かった。
少女曰く、2階の真ん中あたりだと言っていたので、そこを目指してた。
「ここだな。」
ガチャリとドアのカギを開けて中にはいると、少女が言っていた通り2つのベッドが準備されていた。
まぁお世辞には上質とは言い難いが、寝床があるだけましだと思っていないとな。
そういや宿代と飯について何も言われなかったな。
俺はそれを確認しに1階のカウンターへと戻った。
するとそこには少女ではなく、30歳過ぎくらいの女性が受付を行っていた。
「あの、すみません。先ほど
「またあの子ったら……
なるほど、あの木札にはそんな効果があったのか。
とりあえず無料であるということで安心した俺は、部屋に戻って休むのだった。
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