負と不
あれ以来ジンとは前よりも仲良くしている。今なら人生で初めてできた親友といってもいいだろう。父もジンといる時の姿を見て安心しているようだ。しかしジンとは性格や好きなものなどがほとんど全てが正反対なのでよく揉め事をおこしてしまう。例えば、 「オレがそばを好きならジンはうどんが好きで、オレが某有名お菓子のタケノコ好きならばジンはキノコの方が好き」 という風に争いの種が絶えない。だがジンといると安心する。そんな毎日を送っていたらいきなり父が死んだ。あまりにも急だった。そんな中、親戚たちが話しているのを偶然聞いてしまった。 親戚A「日一花(ソウの父親)さん死体?がどうやらおかしいらしいのよ」 親戚B「死体というかとても人間だったと思えないほどドロドロの液体に溶けたような状態だったと聞いたぞ。それよりこんな話をここでしていたら誰かに聞かれてしまう。」 そういって二人ともどこかへ消えていった。 ソウ「死体があまりにも酷いから身内でも子供のオレに死体を見せてくれないのか...」 なにかモヤモヤとしたものが心に引っかかった。そんな時に引き取られることが決まった。当たり前だ、両親がもういない小学4年生の子供だから。どうやら昔可愛がってくれた父の妹夫婦が引き取ってくれるようだ。しかし今の家からずいぶんと遠くに行ってしまう。そうなると必然的にジンと離ればなれになってしまう。オレはジンには迷惑をかけたくなかったので、ジンには黙っておいた。
あれから数年がたった。今日は高校の入学式だ。本当にここまで育ててくれた妹夫婦には言葉にできないほど感謝をしている。入学式はなんのトラブルも起きず無事に終わった。しかしある一点を除いてだ。久々だし相手も大きくなっているので気づくのに時間がかかったが、基岬ジンが同じクラスでしかも前の席に座っていた。しばらく会えてなかったしどのように話しかけようか迷っていると、ジンの方から話しかけてくれた。だが、ジンが放った言葉は俺を突き刺すような内容だった。 ジン「僕たち多分会うの初めてだよね。僕はジン。君の名前は?」 俺は人生で初めての親友から忘れられていたのだ。名前も名乗ってみたがダメだった。それから数日間とても憂鬱な気分で過ごした。とりあえず学校で頭に入るような状態ではないが授業を受け、ボーっとしながら帰るのがいつの間にか日課になっていた。そして今日もボーっとして帰宅していると、背後から鈍く重い音と目が覚めるほど...いや頭がかちわれるような衝撃が走りその場に倒れ込んでしまった。どうやら左の頭を鈍器のようなもので割われたようだ。なのに何かがおかしい。衝撃のあった部分を触ってみると血が出ていない。その代わりにドロっとした液体が手についた。頭の左部分がなくなり液体になってしまっているようだ。正直死ぬかもしれない。するとどこからか黒い白衣を着た男が現れてきた。 黒い白衣の男「脳の状態は半分残っているから■■するのには問題ないな。それより馴らしはしっかり出来ているかだな。じゃないと■■できないし、下手したら今までが無駄になって不人になっちまう。」 ところどころ何を喋っているかわからない。するとそこにジンがやってきた。ジンの方を向いている2,3秒の間に黒い白衣は消えていた。ジンは俺を見てすぐに駆け寄ってきた。 ジン「お前ソウなのか?」 ジンは今さら気づいてくれたようだ。俺はあいまいなカタコトで話しかけた。「ナニ...キヅ イタ...ダ ヨ ジ ン(何で気づいたんだよジン)」頭が回らない。違う。回す頭すらない。ジンは答えた「ソウが両親の話しをするときのように悲しい顔をしていたから」俺はその言葉を聞いた瞬間きっと死ぬんだろう。だけど悔いはないと感じた。俺は自然に身を任せようとした。その瞬間またしても黒い白衣の男が現れ、今度はジンを殺そうとしてきた。俺は名一杯ジンを助けようと力を振り絞ったが殺られてしまい、ジンも俺と同じように地面に倒れ込んだ。そこにジンが俺のために呼んだであろう救急車がサイレンを鳴らし到着した。そこから記憶はなくなった。 ???次に起きた瞬間僕は知らない場所の天井を見ていた。
双人二分の二 @ta-ru0370
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