リビングメモリー

忘れたくないことなんて誰にでもあって

それが好きだった人なのか嫌いな人なのか

忘れたくない事なのか忘れたくない事なのか

どんなことであれ記憶はそれでも宛にならなくて


記憶の上に積み重ねた記憶のミルフィーユが

いつの間に誰かに食べられたって気付かないし

適当に置き忘れられてた事を思い出したり

さざ波のようにそれらを撫で何処かが欠落し


それを人は「思い出」と呼んで

大事に大事に消えないように宝箱に仕舞って

宛らタイムカプセルのように深くに埋めた

いつか誰かが掘り出してくれる事を祈って


そうしていつかその場所に誰かがやってきて

「嗚呼、あんときはそうだったな」と笑いかけて

「懐かしいよな」と笑える誰かが居たら幸い

「懐かしいな」と一人涙したって構わない


誰かの大事な想い出を心に刻んで

「忘れてたまるか」と果たせない約束を交わして

脳裏に走る優しき眩い黄金郷

満ちる優しさにずっと居たくはなるけれど


それでも僕らは先に進まなくちゃ

未来になれなかったあの日々を背負って

無くなった事を「失くなった」事にしない様に

溢れる涙が零れるその前に


笑えるそのうちに「いってきます」を

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