或る夏の最中にて

過ぎてったことをよく詩にして

後悔を御守のように握りしめて泣いた夜を超え

言いたいことなんかなんもない

なんも無いことをまた詩にして


そんな生活の中でもやっぱり過去がチラついて

ほら今あの角を幼い日の僕が走ってった

社会も運命も知らない純粋無垢な

泣き虫で空想遊びが好きだった


誰かの言葉で形作られて

理不尽でこれでもかと殴りつけられて

「くそくらえ」と睨みつけたから目は鋭くなって

その癖まだ「優しい人になりたい」なんて思って


そんな事を夢想した

今年も夏が過ぎてった

別れもあれば再会もあることを知った

未だに別れの方が多いけど


或る夏の最中にて

いつかのように今日も雑踏の中にいて

僕は変われたのかって変われてるはずもなく

大して不幸でもない灰色の日々で


そんな僕を蹴り飛ばす秋の橙が眩しくて

嗚呼今年ももう秋が来たんだと

そして直ぐに突き刺す冬がやってくる

今僕はどこに立っている?


中継駅なんかない特別快速列車人生号

列車の終点なんか当分先で

なのに車窓から見えた脱線事故が脳裏を掠って

大抵人生そういうもんだと言い聞かせた

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