或る星の生き方について

或る星の生き方について

定期報告はクソッタレたもんです

私は上層部の命令で地球って星に向かいました

そらあ綺麗なもんでしたよ

噂通りの水の星でさあ


だが問題はそこに住んでる「人間」って生物でさあ

奴らはいつでも争ってばかり

「多様性」って言葉を振りかざすのに認めないで

自分の気に食わねえところばかり言い合ってる


「幸せになりてえ」って奴ほど成れない事をする

「どうでもいい」って言う奴は諦め悪い

そのくせ満たされてそうな奴ほど見栄で空っぽ

これといって真っ直ぐな奴なんか居やしねえ


住みにくそうな星だなって? 本当にそうですよ

我々なんかその逆で毎日どんちゃん騒ぎ

仕切る皆様のお陰であっしは今日も幸せでさあ

これと言って不満って不満はありやせん


さて今回あっしがそんな星に向かった理由

忘れちゃあありませんよ

《なぜ我が星が滅びに向かっているのかの調査》

刻一刻と国民が死んでいっている一番の理由


結局我々は考えなさ過ぎたんです

「日常の幸せ」ってもんをただ甘受して

大体のことは上が何とかする

そればかり考えてたから今があるんですよ


まだ地球人の方が声を上げている

褒められた手段じゃないにせよ疑問を呈していた

なのに我々が設置した不満箱は今日も空っぽ

インターネットすらほら賛美でいっぱい


生きにくい世界にしたのは結局我々なんです

今から変えようたって、そうは問屋が卸さない

何故ってそらあなた達がよく知っているでしょう

もう残っているのは我々だけだということを

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