《幸せは永遠に》
2年前、僕の両親は事故によって命を落とした。
この時から何をやっても上手く行かなくなっていた。
今では広い実家は売り払い狭いワンルームアパートで暮らしている。
「(弁当でも買いに行くか……)」
夢を諦め高校を出た後はすぐに仕事を始めた。
高卒で即採用の職場は最低賃金のため暮らして行くのもギリギリだ。
節約の為毎日夜は値引きシールを貼られた弁当を買う生活をしている。
「(明日お墓参り行かないとか)」
お金が無いため趣味は無く休日はスマホをいじり本屋とかに行っている。
日曜日、僕は元実家近くにある両親のお墓にやってきた。
安い給料で買った花を供えお墓を綺麗にした。
「今日でちょうど2年だね。毎日辛いけど頑張っているから安心して」
天国に居る両親に話した後僕は事故現場に向かった。
2年前の今日、両親はこの道を車で走っているとき信号無視したダンプと出会い頭衝突した。
今でも定期的にここに来ては当時のことを思い出していた。
戻れるならあの時に戻りたい。
そう考えて横断歩道を歩いているとき横から車が突っ込んできた。
「っ!?」
まさか両親が事故に遭った場所で自分も事故に遭うとは思わなかった。
「ここはどこだ? あぁそうか僕は車に跳ねられたのか……」
辺りは真っ暗で見えるのは自分自身だけだった。
歩いても歩いても何もない。
しばらく歩いていると遠くに小さな光が見えてきた。
そこへ走って向かっていくと光はどんどん大きくなり気が付けば辺りは真っ白の世界が広がった。
僕は立ち止まり辺りを見渡した
「ここが天国なのかな?」
それにしても何もない世界だ。
しばらくして再び歩き出すと今度は周りが光に包まれ始めた。
次第に光は僕自身を包み込み光で自分自身も見えなくなった。
するとどこからか僕を呼ぶ声が聞こえた。
それと同時に僕は目を覚ました。
そこは実家の和室だった。
ふと横を見るとそこには母の姿があった。
「あんたこんな所に寝てると首痛めるよ」
「何でここに……?」
「なんでって今日お父さんと買い物行くから留守番頼んだでしょ」
「えっ……?」
ポケットに入っていたスマホを見ると日付が2年前になっていた。
一体どうなっているんだ?
すると和室の戸が開き父が入ってきた。
「母さん、そろそろ買い物行くぞ」
「わかったわ。それじゃお母さん達行くから留守番お願いね。夕方には帰ってくるから」
僕はすぐに分かった。
ここで両親を行かせちゃだめだと思った。
「待って! 僕も一緒に行く!」
これくらいのことしか言えなかった。
その後、両親と共にデパートへ向かった。
そして事故に遭う信号へ向かう途中横をサイレンを鳴らしたパトカーが通って行った。
遠くを見てみると信号の先の垣根に乗り上げ止まっているダンプが見えた。
出る時間を遅らせたため事故に遭うことなく信号を通過していった。
「(それにしてもあの悪夢は何だったのだろうか……? まぁ両親も無事だったしいいか)」
そして僕は永い永い幸せな夢を見続けた。
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