限界サンタ
少し頭が痛いです。
仕事帰りで寝不足の脳みそに
ずるずると流し込まれたコーヒーが
働こうとしない頭の中で
少しも消費されないまま居座っています。
私は左腕の時計を見やり、
十五分遅れの針を考慮して
現在時刻を割り出しました。
「わぁもうこんな時間か」
私はわざとらしい声をだして
隣の部屋でぐっすりと眠る
妻と子供を起こそうとしました。
ですが私には同時に
起きないだろうという確信もありました
もう三日も起きている二人を
目にしていません
結局彼らは起きませんでした
今日は12月25日のクリスマス
二人との約束を私は守れなかった
長方形の食卓には
ラップのかけられたケーキ一切れと
ドロドロに溶けて役目を終えたロウソクが
並んでいました
おもむろに手掴みで口にしたケーキは
私には甘すぎて
舌がやけどしそうでした
残りのケーキをコーヒーで胃の中に流し込むと、
私は茶こけたバックから
二人へのプレゼントを取り出し
「メリークリスマス」
といって食卓に置きました。
寝室を覗く気もせず
私はそのまま仕事へ向かいました。
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