豪雨
「あーー雨はきらいだ」
晩飯の材料の買い物帰り、急な雨にふられてしまった
すぐに止むだろうと高をくくって、スーパーを出たのが完全に間違いだった
屋根を探してここまで走ってきたものの、
はたしてこの豪雨は、手元の冷凍チャーハンが解凍を終える前に、
止んでくれるだろうか
「もーーマジ最悪だ――」
なんで俺がこんな目に合わないといけないんだよー
びょびしょになって体にへばりついたTシャツが気持悪い
腹も減ったし、体は冷えてきたしで、そろそろ覚悟決めて、
このバケツひっくり返したみたいな豪雨の中を走って帰るしかないか…
と考えていたら、
「あなた今困っていますね」
そういって、同じ屋根の中に知らないじじいが入ってきた。
「え、あ、はい、困って…ますね」
いきなりに驚いて返事してしまった。
このじじい立派なカッパ着てやがる。
「なぜ困っていると思いますか」
ん?なんだ?なんでそんなこと聞いてくんだ?
「え、いやー、雨が降ってきちゃったからですかね」
じじいが目をギョッと見開いた
「そうだ!そのとおりだ!」
「ではなぜ雨が降ってきたと思う!」
いきなり興奮しだした、じじいにめちゃくちゃ驚いた。
「え、いや、まあ、そういう季節ですし、梅雨の…」
「違う!ばかものが!」
こえぇぇーー、と思い逃げ出したかったが逃げ場はなかった。
「いいか!毎年毎年やってくるこの兵器的豪雨は日本を侵略せんとする中国やアメリ
カの仕業なのだ!奴らは化学兵器を用いてこの豪雨を引き起こしておる!我々日本人
はそのような強大な力に屈してはならない!!」
じじいは勢いそのままに屋根をでて、両手を広げて言い放った、
「集え!若者よ!戦え!若者よ!今こそ大和魂を見せつけるときじゃぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「あっ!」
その時、飛び出したじじいの横っ腹を猛スピードで漕いできた自転車が突撃した。
自転車は豪雨で前が見えていなかったらしい。
じじいを吹き飛ばした勢いそのままに通り過ぎていった。
すぐに駆け寄るとじじいは気を失ってはいたものの、軽傷だった
まさに豪雨のようなじじいだったな
気を失ったじじいを屋根に連れていき、救急車をよんでおいた。
こわい思いはしたが立派なカッパを手に入れることができた。
まさに雨のち晴れだな。
スキップして家に帰った。
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