アブラカタブラ

あー疲れた。ほんとに疲れた。連休だからってバイト5連はやり過ぎた。


もう帰って寝たい。あーでもお腹もすいたなー。どーしよ帰っても何もないぞ。


そうだ。料理のレシピ本でも買ってパパっと作れるやつを探そう。うんそれがいい。


帰り道にたしか古本屋があったな。じじいが一人で店番してるぼろい店。


まだやってるかな。と思ってたら見えてきた。


ガラガラ、とドアを開ける。


「すいませーん、まだやってますかー。」


声をかけたらじじいがこっちを見て


「おう、いらっしゃい。なんか見てくかい?」


と低い声で言った。


「レシピ本を探してるんですけど…」


といったらじじいが立ち上がって近くの本棚を物色した後


古そうな本を持ってきて、俺に言った。


「こいつに載ってる呪文を向かいの建物に入って唱えてみな」


なにいってんだこいつと思ったが、じじいの表情が怖いくらい真剣だったので


とりあえず本を買って言うとおりにすることにした。


店を出て向かいの建物にいき、大声で本に載っている一節を読んだ。


「アブラカタブラニンニクマシマシネギオオメトンコツショウユメンバリカタ!」


俺は人生の中で最もいい食事を経験できた。

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