第3話 ある風俗嬢の話

全然寝取られ関係ないです。あと話的にエロ多めかもです。


****


私の旦那さんは10歳上。


売れない風俗嬢だった私のただ1人の太客だった人。まぁ私自身、売れる気も無くて惰性でやっていただけだったんだけど・・・


旦那は私が初めての風俗だったらしい。というか童貞だった。

初めての来た時、旦那は私を見て固まっていた。


ーーーーーーー


「はじめましてー。どうもご指名ありがとうございまーす。」


「あっ・・・どっどうも。」


「あっ、こういうトコはじめてですか?」


「あっ、はっ・・はいっ」


「緊張しないでいいですよー。じゃあやっていきますねー。じゃあとりあえずシャワー浴びましょうかーあとコレで口ゆすいで下さいねー」


ささっと事務的に仕事を進める。

旦那は別にそこまで女性に嫌われるような容姿でもなかったし清潔感もあったから、なんでここまで女慣れしてないのか不思議だった。


服を脱いで直立不動でシャワー室に立つ旦那。


「あぁー、だからそんな固くならないでいいですよー。洗っていきますねー。」


「あっ♡あっ♡だっ、ダメですっ!」


ボディソープで身体を洗ってるだけで旦那はイッてしまった。

旦那は超敏感肌の持ち主だった。


「あっ・・・気持ち良かったですか。」


「はっ、はい。」


「そうですか。なら良かったです。まだ出来そうですか?」


「あっ、あのっ!わっ、笑わないんですか!?」


「えっ、何をですか?」


「いっ、いや・・・わっ、私の・・・声が気持ち悪いとか・・・早過ぎるとか・・・」


旦那はだんだんと声を小さくしながら、ボソボソと言った。


「あー、別に思わないですけど。気持ち良くなって貰えたんなら仕事ですし、嬉しいですよ。一回綺麗にしてから、ベッド行きましょうか?」


「えっ、えっと一回で終わりじゃないんですか?」


「あーウチ無制限なんで大丈夫です。時間もまだありますし。」


「あっ、ありがとうございます!」


「いえ、仕事なんで。お礼言われるような事じゃないですから。」


「あっ、ありがとうございますっ!」


「ぷっ!っっぷはっ!!いや、もう大丈夫ですってww早くベッド行きましょう?」



それからベッドに行き、口でしてあげた。というか唇をつけた瞬間に暴発した。


「あっ、ごっ、ごめんなさい!」


「あー、大丈夫ですよ。でもなんだかんだ、時間的に次は無理そうですね。」


「えっ、延長はっ?」


「あー今日はこれでラストなんで出来ないんですよー。ごめんなさい。」


「じゃっ、じゃあまた今度必ず来ますっ!」


正直そう言ってリピートしてくれたお客さんは・・・私には居なかった。そりゃー・・・いるわけないよね。やる気ないし。


「あっ、はい。じゃあ次回はご指名楽しみにしてますねー。シャワー浴びて終わりにしましょうか。」


そう言ってシャワーで身体を洗ってあげたら、また暴発していた。



2日後120分ロングコースで予約が入った。

旦那だった。


「ロングコースでご指名ありがとうございまーす。」


「あっ、こっ、こんにちはっ!きょっ、今日もよろしくお願いしますっ!」


「こちらこそよろしくお願いしまーす。あのーハマっちゃったんですか?」


「えっ、あっ、はっはいっ!」


旦那は相変わらず挙動不審だった。

ロングコースだと、とりあえず最初はトークしてって言うのがお決まりなのだが、私はトークの方が疲れてしまうのですぐにプレイに入る。


「じゃあ、シャワー浴びちゃいましょう?」


「はっ、はいっ!お願いしますっ!」


旦那の服を脱がせていると、こちらの顔をじっと伺っている。あーキスしたいんだろうな・・

キスは・・・嫌なんだよなー


とりあえず気付かないフリしておこ。


「あっ♡あっ♡あっ♡ああーまっ、また…」


今日も体を洗ってあげる最中で旦那はイッてしまった。


「気持ち良かったんですか?いいんですよ、そういうお店なんだから。好きな時に出しちゃって下さいねー」


「はっ、はい・・・」


とりあえずシャワーで体を綺麗にしてあげた。


「じゃあ、私も体洗うんで。先にベッド行って待ってて下さいねー」


旦那はちょっとだけ間を置いて、恐る恐る私に聞いてきた。


「あっ、あの・・・私が体を洗ってあげたり出来ますか・・・つっ、追加料金かかっても良いんで・・・」



あー・・・私を気持ち良くして楽しみたいタイプかー。面倒くさいなぁ・・・


「あー、追加かかんないですけどー。多分面白くないですよ。私、不感症なんですよ。ごめんなさい。」


「あっ、そっ・・そうなんですか。ごっ、ごめんなさい・・・でっ、でも洗ってあげたいんです・・・」


そう言うなら・・・まーいっか。ロングのお客さんだし、このままだとリピート率低すぎて、店長のおばさんに何か言われそうだし。



「あー、フリはしないで良いですか。それでも良かったら、どうぞ。」


「あっ、ありがとうございます。」


旦那の洗い方はクッソ優しかった。丁寧に、丁寧にまるでコワレモノを扱うかのように・・・私は処女じゃないっつのー・・・・



「あっ、もう大丈夫ですよ。ありがとうございましたー」


とりあえずその日は、ベッドで3発抜いて。最後また体を洗ってる時に暴発したので計5発。

コイツの体おかしいだろって思ったけど、めちゃくちゃ早いから私も楽だし。


また来てくんないかなって・・・ちょっとだけ思った。



「今日はありがとうございましたー。また来て下さいね〜。」


「はっ、はいっ!まっ、また来ますっ!!」



4日後、またロングコースで指名が入った。



「またロングコースでご指名ありがとうございまーす。あの〜・・・お金大丈夫ですか?」


「あっ。こっこんにちはっ、サツキさんっ!こっこれ食べて下さいっ!」


旦那は私の質問に答えずに、お土産を渡してきた。紙袋を見ると、今朝ニュースでやっていた都内の洋菓子屋さんのモノだった。



「あっ、ありがとうございます。でもこういうナマモノはちょっと・・・」


言いながらちょっと胸がチクッとしたけど・・

人から食べ物とか飲み物を貰うのは怖かった。


「あっ、ごっごめんなさいっ!そっ、そうですよねっ!あははっ、本当・・きっ気持ち悪いですよねっ!ごっ、ごめんなさい・・・」


旦那の笑い声を聞いたのは、この時が初めてだった。自虐で作った・・・聞いててツラい乾いた笑い声・・・



「あっ、あのケーキですよね・・・?」


「あっ、ほっ本当無理しないで下さいっ!日持ちする焼き菓子なんでっ!おウチに持って帰って、自分で食べますからっ!」


焼き菓子なら・・・多分個包装されているヤツかな・・・



「あっ、焼き菓子ならっ、いっ頂きますっ!おっおウチに帰ってから食べますっ!」


私何やってんだろ・・・

でもあの乾いた笑い声は聞きたくなかった。あの笑い声をする時の気持ちはよく分かるから・・・



「いっ、いえっ。むっ、無理はしないで下さいっ!こっ、こんな気持ち悪いっ自分のっ・・」


「んっ。気持ち悪くなんてありません。お菓子ごちそうさまです。早くシャワー浴びましょうか。」


咄嗟に唇を噛んで旦那に触れないようにして、キスをした。唇が触れてないからキスじゃないか・・・

それからお菓子の入った紙袋をひったくるように奪って、いつものようにシャワー室に連れて行くため手を引っ張った。


私は本当に気持ち悪い人達をたくさん知っている。この人は気持ち悪くなんかない。


旦那は頭を垂れながら、私についてきた。

無言の時間が流れる。


あーあ、やっちゃったかな・・・

せっかくの初めての太客だったのにな〜。



「じゃあ脱がしますねー。」


「あっ、あの・・・ありがとうございます。」


小さい声で旦那が言った。


「あっ、いえ・・・さっきはいきなりキスしてごめんなさい。」


なんとなく謝ってしまった。


「あっ、あっ、すっ・・すごく嬉しかったです。ありがとうございましたっ!」


嬉しかったんだ・・・ふーん、そっか。


いつもどおり服を脱がせて、シャワー室に入る。そしていつもどおりイソジンを渡す。


「よーく、ゆすいで下さいねー。3回くらいお願いしまーす。」


ぶくぶくぶくぶくぺっ!ぶくぶくぺっ!


言われたとおり念入りに口をゆすいでくれる旦那。

これだけゆすいでくれたなら、いっか。


「じゃあ体洗っていきますねー。んっ♡」



焼き菓子のお礼にキスをしながら体を洗ってあげた。

自分からキスをするのなんて、どれくらいぶりだろ。もう分かんないや。


旦那は何度も身体をビクつかせた。

最後旦那のモノを洗うために触れたら、ふにゃふにゃになっていた。


キスは続けたまま、丁寧に、丁寧に洗ってあげた。また旦那が震えた。今度は大きく。



「気持ち良かったですか?」


唇を離して旦那に聞いてみた。

旦那は少しというか、かなり涙目になっていて・・・言葉を出せないのか、コクコクと頷いた。

下に目をやると・・・あーこれ、排水管が詰まっちゃうヤツだ・・・


とりあえずシャワーを止めて、ペーパータオルで床を拭く。旦那もプルプル震えながら、一緒に拭いてくれた。


「ありがとうございます。じゃあ体流しちゃうんで、先にベッド行ってて下さいね。」


すると旦那は意を決したように、大声で私にお願いをしてきた。



「あっあのっ!!あっ、ありがとうございますっ!おっ、お礼に私にまた身体を洗わさせて下さいっ!!」


やだな・・・また自分のことを勘違いしちゃうから・・・

でもお礼とか言われたら、断れないじゃん・・



「分かりました。でも結構さっきので時間取られちゃってるんで、短めにお願いしますね。」


「はっ、はいっ!ありがとうございますっ!」



旦那は震えながら、前回よりももっと丁寧に洗ってきた。私を労わるように・・・ただひたすらに優しく・・・短めにって言ったのに・・・

バカじゃないの・・・コイツ・・・


「あのっ!短めに゛って・・・」


「あっ、ごっごめ・・・」



旦那の顔がサーと青ざめていくのが分かった。

原因は分かってる・・・



「いいですっ!!そのまま洗って下さい゛っ!私がいいっていうまでっ、洗って下さい゛っ」


「えっ!?あっ、そのっ、ごめん、ごめんなさいっ!」


「いいから゛っ!お願いだから、洗って下さい゛っ!!」


あっダメだ・・・なんで・・・もう感情は死んだはずなのに・・・

カラダだって何も感じなくなって・・・

今だって何も感じないのにっ・・・


私はこの人はダメだと思った。私にとって毒だ・・・無くした痛みを思い出しちゃう・・


旦那はひたすらに私のカラダを無言で洗っていた。

どのくらい洗わせていたんだろう。



「ぐすっ・・・もういいです・・・」


私のカラダはどんなに洗っても綺麗にならないから・・・


旦那の顔を見たら涙で顔がぐちゃぐちゃになっていた。そして消え入りそうな声で私に声をかけてきた。


「ベッド・・・いきませんか。」


私はコクリと頷いてしまった。


それから旦那はタオルで私のカラダを優しく拭いてくれた。そしてバスローブをかけてくれてそのままベッドに連れていってくれた。


さっきとは逆に私が手を引かれる格好で・・・

私がベッドに腰掛けると・・・おずおずと後ろから手を回して抱き締めてきた。



「あっ、あのですねっ!今日はあと最後まで、この格好でいいですか?」


私はまたコクリと頷くだけ。


旦那は本当にただ無言で最後まで抱き締め続けてくれた。


ピピピピッ


終了5分前のアラームが鳴った。


「今日もこれがラストだったんで・・・延長とか出来ないんです・・・今日はすみませんでした・・・」


私・・・こんな失態晒しちゃって・・・

もう来てくれないだろうな・・・



「あの・・・まっまた来てもいいですか?。」


「えっ?あっ・・・・はっ、はい…」




旦那は本当に次の日来た。


この人はバカなのかな?と思った。こんな風俗なんかで破産とかさせたくない・・・


「こんにちは。あの〜お金無くなっちゃいますよ。それに私よりオススメの子もいっぱい・・・」


「さっサツキさん、やめちゃうかもって思って!」


「いやでも・・・こんな風俗で働いてる人にハマっちゃダメですって。」


「別に風俗は関係ないです・・・ダメですか?」


「・・・じゃあわたしが辞める時はちゃんと伝えますから。だからせめて週1回にして下さい。」


「・・・分かりました。約束です。」


旦那は静かな声で約束してくれた。


良かった。私なんかのために破産して人生を狂わさせてしまったら・・・なんて考えたくもない。



「じゃあいつもどおり、シャワー浴びちゃいますか?あっ、昨日頂いた焼き菓子美味しかったですよ。ありがとうございました。」


「あっ、いっいえ!美味しかったなら良かったです!」



それからまたシャワー室にいって服を脱がせて、イソジン渡して・・・


なんとなく昨日と同じ流れになってしまった。


違うのは私が泣かなかったことだけ。


それから旦那は毎週来てくれた。ただコースは超ロングコースに変わった。



2か月経って、私はお店を辞めることにした。

旦那以外の人に触れられることに嫌悪感を感じてしまったから。


お客さんに恋慕するなんて、ありえないと思ってたけど・・・


私はもうひっそりとパートでもして1人で暮らしていこう。


でもあの人に何も言わずに辞めるのはダメだ。

きっとあの人のトラウマになってしまう・・・



私の風俗最後の日、今日も旦那が超ロングコースを予約していて、それがわたしのラストだ。


「サツキさん、こんにちは。今日もよろしくお願いします。あっ、これまた焼き菓子です。」


私は笑顔でそれを受け取って、覚悟を決めて口を開いた。



「大地さん、いつもありがとうございました。

あの、私・・・今日で終わりなんです。もう風俗は辞めようと思って・・・」


「えっ・・・あっ、そっそうなんですかっ。何か誰か良い人が出来たりとかです・・・か?」


「あー違いますよ。そんな人、私なんかに出来ないですよっww 」


「じゃあ・・・なんで・・?」


「私・・・、ここで働く前に・・すごく・・・嫌な事があって・・・」


「さっサツキさんっ!!あのっ、ちょっと僕の話を聞いて貰えないですかっ!!」


「えっ・・・あっ、はい・・・」


旦那・・・大地さんが私の話を遮って、話そうとしてきた。

その真剣な形相に気圧されてしまい・・・私は思わず、はいと頷いてしまった。


「僕、高校生の時に2つ上先輩と付き合ってたんですっ。それで、はっじめての時に、喘ぎ声が気持ち悪いって、早すぎて笑われてっ!それで女の人が怖くなっちゃって・・・

ずっと悩んで、でもやっぱり怖くて・・・

でっでも、サツキさんは笑わなくてっ!

このお店を選んだのは、本当偶然でっ、好きなアニメに名前が似てたからっ!

そしたら僕の大好きな女の子にサツキさんが、そっくりでっ!

でもその女の子は笑顔がすごく可愛いんだけどっ、サツキさんはっ、悲しい顔しててっ、だから僕もアニメみたいにっ、笑顔にしたくてっ!

サツキさんっ、見て下さいっ!!


はっぴっぴ〜〜〜!!」



大地さんは必死に笑顔を作って・・・

無理に作ってるから、すごい不細工で、言ってることは中学生みたいだし。

35歳がやるには痛々しいにも程があるし。


あー・・あまりに痛々しくて涙出てくる・・・


くっそっ、幸せになりたいとか思っちゃうじゃんかっ・・・


「あ゛のー、私゛・・・ハッピーになっても゛っいいんですかね゛っ?」


「僕がずっと、サツキさんをっっっ!

ウルトラハッピーにしますっ!!!!」


「だって私・・・」


「サツキさん、はっぴっぴ〜〜〜!!!」


「・・・早苗です…」


「早苗さんっ、結婚前提にっ付き合って下さいっ!」



ガチャ


「あっ・・・店長。」


「アンタ達っ、うっさいよっ!!他のお客様に迷惑だろうがっ!!サツキはこれで最後なんだから、そのままあがっちまいな!

今までおつかれさんっ!もう二度と帰って来るんじゃないよっ!!」


「てっ、店長さんっ、すっすみませんっ!」


「ほら、アンタっ!ぼさっとしてないで、さっさとサツキを連れて出てっておくれ。ウチのお店は本番禁止なんだからっ」



それが私達の馴れ初め。

ちなみに旦那限定だけど、3回目の時に不感症は治ってました。




「ねー、ママ〜?弥生と一緒にテレビ見よ〜よ〜!」


「え〜、また見るの〜」


「だって好きなんだもん!パパも早くー!」


「はい、はい。じゃー3人で一緒に見よー!

スマイルラリキュア始まりまーす。」



私は今、ウルトラハッピーです!!


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