第51話 入学式

 入学に向けた準備が整った頃、ようやく高等科学園の入学する日を迎えた。


「ねぇ? この制服なんだけど目立ち過ぎじゃないかしら?」


 別邸を出る前に、制服のことが気になってサンドラに意見を求めてみた。


「姫様がより神々しく見えて、とても素晴らしい制服だと思いますよ!」


 サンドラは『キラキラ』と目を輝かせながら褒めちぎる。聞く相手を間違ったと思い、常識人っぽいレイチェルに聞くことにした。


「ねぇ、レイチェルは目立ち過ぎだと思うよね?」

「いいえ、姫様を天使のような存在だと学園の者達に知らしめるには、ちょうど良いと思います」

「あっ、そうなのね」


 レイチェルもダメな人だった……。お母様には聞くまでもないので、ファビオに目を向けると『ポーッ』とした表情をしている。この場にいる者に制服のことを聞いても無駄だと理解したので、覚悟を決めて登校することにした。


(どうか、悪目立ちしませんように……)


 馬車に乗って高等科学園の正門に着くと、馬車に向かって手を振りながらアンジェラ叔母様が近寄ってきた。御者が扉を開けてくれたので下車すると、叔母様が両手を広げて待っているのでそのまま身を任せると、周りの人目を気にすることなく『ギュッ』と抱きしめられた。


「あぁ、私の天使が神々しく輝いてる。今日からは教師と生徒の関係になるからよろしく頼むよ」

「はい、アンジェラ先生!」

「リディとの授業を楽しみにしてるよ。では、大講堂へ戻るからまたあとで」


 叔母様はそう言うと、入学式が行なわれる大講堂へと戻っていったので、ファビオ達に声をかけて移動することにした。


「では、私達も大講堂へ向かおうか」

「うん」

「「かしこまりました」」

「リディ、ママは来賓席に行くわね。式が終わったらここで合流しましょう」

「うん、また後でね」


 私はファビオの左側に移って腕を組むと、少し照れた素振りを見せながらも、大講堂までエスコードをしてくれた。移動中は周りの視線が妙に気になったのは、隣のファビオが見目麗しいのと、護衛達を連れているからだと思う。だって私の付き人ってみんな美男美女揃いだから、嫌でも注目を集めるね。


(※周りもそうだが、一番の理由はリディアーヌの人並み外れた美貌なのだが、本人は全く気づいていない)


 講堂に入って席に着く。式が始まるまでの間に来賓席に目を向けてみると、すぐにその存在に気づいた。


(えっ、なんでパパがいるの?)


 領地に残っているはずのお父様が、お母様と一緒に来賓席に座っていることに驚いた。目が合うと2人揃って『ブンブン』と手を振ってくるので、仕方なく手を振り返したけどかなり恥ずかしかった。そして両親の隣の席には国王夫妻がいるけど、その表情は引き攣っていた。


 かなり異様な雰囲気の中ではあったけど、高等科学園の入学式は無事に終わった。そのあとは各クラスの発表が行われ、生徒達は各クラスへと移動することになるの。

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