第49話 入学へ向けて
年が明けていよいよ高等科学園へ入学する日が近づいて、私達が王都の別邸へと出発する日を迎えた。
別邸へ向かうのは、高等科学園へ入学する私達7人だけかと思っていたら、お母様とお母様専属の騎士レイチェルが同行することになった。王都へ私達を送り届けたら、そのまま領地へ戻るのだと思っていたら、私が卒業するまでの3年間は別邸で過ごされるらしい。これにはお父様が猛反対するかと思ったのだけど、なんとお父様が指示を出したというのだから、心底驚いたの。
出発準備を全て整え終え、馬車に乗り込み城を出発しようとしていると、お父様は大号泣していた。
「うぅ……、リディと3年も離れるなんて……、高等科学園をレイバック辺境伯領へ移設すればよかった……」
「パパ、長期休暇は領地へ戻ってくるんだからさ、3ヵ月後には会えるんだよ?」
「長い! 入学試験の時でも長かったのに、3ヵ月なんて一生涯と思える長さだ」
目の前で大号泣している人が『人類最強』と言われる人なのかと思うと、信じられないと思えるけど、私への深い愛情があるからこその態度だと思うと、心から嬉しく思えた。
「パパ、毎日の出来事を手紙で書くからね? それで我慢してくれる? パパ大好きだよ!」
そう言ってから頬へキスをすると、さらに大きな声で大号泣しながら『ギュッ』と思いきり抱きしめられた為に、涙でドレスがびしょ濡れになって着替えるハメになって、出発が遅れるというハプニングがあったけど、なんとか王都へ向けて出発したのだった。
§フランチェスコ視点§
いよいよファーガソン王国へと出発する日を迎えた。
教皇様からは『リディアーヌと恋仲になり、アルテイシア様と一緒に聖教国へ連れてくるように』と厳命された。最初は乗り気ではなかったが、入学試験でリディアーヌを見たことで、必ず自分のものにするとヤル気が漲っている。
そして、ファーガソン王国へ出発する馬車に乗り込もうとした時に、祖父が近寄ってきて声をかけてきた。
「フラコ、2人を連れてくるのが無理だとしても、リディアーヌだけは絶対に連れてくるのだぞ? あれはアルテイシア以上の存在になる。この意味が判るな?」
「はい、実際にリディアーヌを目の当たりにすれば、お祖父様の言われていることがよく判ります。持てる力の全てを注いで、自分のものにしたいと思ってます」
「うむ、お前なら必ずできるはずだ。頼んだぞ!」
「はい、行ってまいります」
こうして留学ではなく、リディアーヌを我がものにする為、ファーガソン王国の王都へ向かって出発したのだ。
※いよいよ高等科学園での生活が始まりますが、リディアーヌの知らぬ所で、彼女を巡った激しい戦いが始まろうとしていたのだった。
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